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2018年首都圏中学入試(59) 慶応中等部 社会の問題で、骨太論述出題

☆慶応中等部の社会の入試問題でも、150字前後書く骨太の論述を出題。
 
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☆生徒の要望を年に1つ受け入れる。今回はスマホや携帯を学校に持ち込むことを許可してほしいという提案。あなたがその学校の生徒だとして、有効な提案を出しなさいという趣旨の問題。
 
☆どこの学校でも問題になっているから、提案自体は難しくない。しかし、提案の内包する問題の重要性をどのくらい理解できているかどうかがカギとなる。
 
☆これは、おそらく国際バカロレアのTOK(知の理論)を意識しているのだと思う。TOKでは、問いをめぐる重要度を大切にしている。
 
☆TOKばかりでなく、東大推薦入試や京都大学の特色入試、AO入試など、志望理由では、問題意識の高さや深さや広さをきっちりみる。
 
☆このような知の根本問題をおさえられるグローバルシチズンリーダーやグローバルコミュティリーダーが求められている。
 
☆ある外資系の製薬会社が、就職面接のプログラムの開発をするために、大学3年生をインターンとして募り、実験しているが、そこでも「デザイン思考」の能力があるかどうかディスカッションやチームで制作活動するワークショップを行った。
 
☆その結果を「処方箋」と称してフィードバックをする。一回の面接で合否を決めるのではなく、フィードバックしたあとにどのくらい成長して再び挑戦してくるのか、その成長度を測定しようというのであろう。
 
☆そして、その成長に大事なのは、ジャンプする跳躍台の強度である。その」強度は問題に対する多角的で深い理解である。
 
☆思考力が成長するかどうかは、プロセスの以前の出発点である問題意識の豊かさである。U理論でいえば、Uのボトムにまで沈潜して、そこに希望を見出すプレゼンシングの地点から旅立てるかどうか。
 
☆このような根本問題にアクセスできる思考力を試す問題を、慶応中等部の社会の問題以外にも、麻布の社会、海城の社会、武蔵の社会、開成の国語、筑駒の国語、栄光の理科、桜蔭の国語などで問うてきている。
 
☆そして、偏差値が高い学校だけではなく、「思考力入試」「自己アピール入試」など適性検査型入試以外に独自の思考力問題を作成している学校も、これらの高偏差値の学校同様、根本問題を複眼的に考え、自分なりの提案をする問題を出題している。
 
☆かつては、偏差値の低い学校がそんな思考力問題を出すのはおかしいとおかしなことを言う受験界の方々もたくさんいたが、最近はだいぶ少なくって来た。
 
☆偏差値で思考力が決まるとしたら、それは恐ろしい社会。実際20世紀型教育は、そういうことに無頓着だった。子供の権利や人間は考える葦であるという人間存在の尊厳を傷つけるような社会だった。
 
☆21世紀型教育は、そんな社会からすべての子どもに未来を創る機会を模索している。その象徴が「思考力」育成なのである。そして入試問題は学校の顔であり、アドミッションポリシーのメッセージでもある。それが「思考力入試」である。
 
☆2018年は、根本問題を考える「思考力」の重要性が多くの学校の入試問題に現れたといえよう。
 
☆「思考力」が教科で問われてもよいし、ミネルバ大学やオックスブリッジのように、教科横断的あるいは教科越境的に「思考力入試」が作成されてもよいのである。
 
☆思考力の再定義の時代。まさに思考論的転回の時代である。
 

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