2018年首都圏中学入試(68) 聖学院 偏差値を乗り越える「難関思考力入試」。
☆聖学院の難関入試の問題は、11個もの非連続テキストであるグラフや図を見ながら、高齢者のための医療の難しさの理由を抽出していく。海城が4つの資料からであるから、これだけでも相当に難しい。それでも、ここは思考コードでいえばまだA3思考領域である。
☆次に、この難しさの理由から、いったいどんな問題が考えられるのか、統合していく記述がある。これはB3思考領域であるから、やはり難しい。
☆そして、連続テキストとして、AIについてリスニングを行い、AIの可能性と危険性をノートテイキングする。これは、比較対照スキル、理由根拠スキル、具体抽象スキルで再現していくから、A3である。
☆ここまで、高齢者の医療の問題点を掘り下げ、それを解決するために使うAIの情報を抽出したところで、いよいよAIによって問題解決はいかにしたら可能かを考える。まずはレゴで表現する。
☆比較対照スキル、理由根拠のスキル、具体化抽象化のスキル、統合のスキル、レゴに置き換えるスキル。しかも正解は1つではない問題。ここから、C3の思考領域の問題。海城のB3の思考領域の問題の次元を超えることになる。
☆レゴを使って組み立てているうちに、最初考えていたのとは違うAIの機能などを思いつく場合もある。実は、これは、ティンカリングという思考スキルの醍醐味で、その気づきも含めて、レゴで創った自分のアイデアを、今度は150字で文章に変容させる。これもまたC3でる。
☆そこまでは、AIに注目させてきたのだが、今度は、そのようなAIに対し人間はどんな役割を持てるのか150字で記述する問題にシフトする。そして、これこそ、君はどんな哲学を持っているのかを問う究極の問題である。C3を突き抜ける問題で、おそらく首都圏模試センター「思考コード」をはみ出すであろう。
☆かくして、知識理解は、海城の中学入試のレベルには今はないが、発想の自由人としての創造的思考力については、海城の社会科の思考力を超える力をもった生徒が現れたのである。清水副校長先生によると、そのような生徒を5人も合格させることができたそうである。
☆知識理解の思考領域から始まる生徒、創造的思考から始まる生徒。才能は多様である。もし前者の生徒しか受け入れられない入試問題のみを設定していたら、後者のような創造的才能を持った生徒を獲得できていなかっただろう。
☆今までの偏差値ではとらえられない次元の関門を乗り越えるという意味で、「難関」という名称がついたのだと思う。
(伊藤先生は、知の多様性を引き出すディスカッション授業の達人である。)
☆多様性とは、国際的な文化的な違いだけではなく、ものの見方や考え方の違いも含む。
☆聖学院が広範囲かつ深い多様性を取り入れることによって、未来を拓き、未来を創る人材を育成できることは、卒業生の活躍を見れば、明らかである。
☆なお、実際の入試問題は、いまのところ公開はしていない。いずれ、学校やメディアが伝えるであろう。
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