2019年中学入試の新フレーム(02) 新タイプ入試の経緯。
☆2020年大学入試改革の流れを、2018年問題を迎える今年に向けて、英語塾や大学予備校が、「英語力と思考力」としてとらえ返して、乗り切ろとした。その風が吹いて、すでに2010年からはじめていた思考力入試は、当時は業界あげて否定され無視されてきたが、ついに認識れるようになった。
☆ただ一人首都圏模試センターだけが、この新タイプ入試の意義を把握し、同業から攻撃を受けながらも、受ければ受けるほど、つまり制約されればされるほど、クリエイティビティを、発揮し、大きなウネリを引き受けたとばかり、新タイプ入試について各メディアにリリースし続けた。
☆それが、2014年から2016年にかけてだった。その段階では、まだ適性検査型入試を前面に出し、次に英語入試だった。しかし、一方で、それ以前から行っていた思考力入試は、ブルーム型のタキソノミーで思考コードやメタルーブリックを見える化して、論理的思考の上をゆく批判的・創造的思考の潜在的な能力を持っている生徒を受け入れる態勢をつくっていった。
☆それが、東京大学の推薦入試や京都大学の特別入試と呼応し、今年はその影響を受けているのが明らかな早稲田大学の新思考入試が行われる事態が起こった。
☆今でもまだあるが、そのような入試が客観的な評価ができないという批判もあったが、テスト測定学や国際バカロレアのサマティブアセスメントとフォーマテヒブアセスメントを統合する評価方法、CEFRなどの基準を基盤に思考力入試の研究は着々と進んだ。
☆もちろん、2018年問題以前に中学入試は、少子化の影響を前倒しで被っているから、生徒核戦略の一環として創意工夫された産物であることは否めない。しかし、私立学校は経営と教育の両輪が必要であり、そのエネルギーは生徒募集であり、エンジンは教育である。
☆そして、その乗り物が、行く道こそ生徒それぞれのキャリア形成ということになる。
☆だから、思考力入試は、多様な批判を受けながら、消滅するどころか、ますます強化されていった。そして多様化した。
☆それは、今も、最後の20世紀政治社会のGDP右肩上がり神話のあがきがなされているが、一方で、全く違う政治経済の胎動が生まれている。それは、グローバル市民個人の才能が、社会を世界を動かす力を発揮できるようになってきたということだ。クリエイティブクラスという第4次産業革命を動かす創造的才能者の出現である。
☆しかし、それは創造的才能者がコラボレーションする集合知を形成するクラスとして活動することになる。このクラスは、固定された組織ではなく、クラス内で変幻自在に多様なワークコミュニティができるという集合天才型個人のネットワークなのである。
☆総合型入試は、たしかに1999年ころ、バブルが崩壊し、私学危機があったときにも生まれているが、そのときは、依然として知識集約型の大学入試だったし、まだ20世紀型政治経済の改善程度で乗り切れると考えれていた時代。トレンドにはならなかった。
☆ところが21世紀になって、ブログが生まれ、タブレットが生まれ、SNSが誕生すると、産業革命当時には個人で取得できず、資本家が独占していたはずの生産手段であるマシーンが、個人でも手に取れるようになってしまった。
☆それが20世紀末に生まれたパーソナルコンピュータであり、それを集合知としてグローバルな広がりでつなげてしまったのがウェブである。1989年、ベルリンの壁が崩壊し、もはやマルクスやヴェーバーが大学の一般教養から消え去ってしまったから、生産手段が資本家から個人にシフトする重要性を提唱する見識者がいなくなり、格差問題の解決にばかり目が向かった。
☆しかし、その根本的な生産構造を見れば、何が起こっているか、火を見るよりも明らかだったはずなのが、そこはICTを20世紀政治経済の暗黒面に活用するグローバル企業が、グローバル市民の集合才能型個人の行く手を阻もうとした。
☆しかし、それを止めることなどはできず、過労死問題や女性雇用の問題を引き起こし、自然災害がきっかけで、人災が起き、その縦社会組織が液状化現象を起こして、もはや立ち行かなくなったことを露呈し続けている。
☆だがしかし、教育領域という不思議な組織は、前衛的なのか遅れているのかわからない組織で、創造的才能を嫌悪する体質から抜けきることができないでいる。
☆そんなとき。すでに革新的な仕事をしている家庭層が、わが子の通う教育イノベーションに果敢にチャレンジしている学校を探しはじめた。わが子を集合天才型個人だと認識している保護者が、そういう才能児を受け入れてくれる学校はどこにあるのかと。
☆そして、そのわが子の才能を認め、見出し、開花してくれる学校の「記号」が「思考力入試」であることを知り始める。その記号を生産しているのが21世紀型教育機構であることもうすうす気づかれ始めている。
☆そして、そういう受験生/保護者のために、従来型中学受験市場と新中学入試市場の併存を仕掛けたのが首都圏模試センターであった。
☆併存させることができたのは、実は「思考コード」の開発だった。今では、模擬試験の成績表の中に活用されるまでになっている。
☆新市場を創出するには、スケールメリットと口コミの統合が必要であるが、首都圏模試センターの経営陣は、スケールメリットとして、模擬試験を活用し、口コミを広げるメディアとして、サイトを活用した。もちろん、サイトを活用するということは、SNSも含め最先端のWeb広報戦略も活用する。
☆こうして、社会が必要としている集合天才型個人の誕生をサポートすることで新市場を創出するクリエイティブクラスが集うことになったのである。もちろん、そこに各種メディアもつながっている。
☆ともあれ、予測不能な時代であることは確かで、前提自体が崩壊する時代である。安心安全だったはずの足場が液状化現象で崩れてしまう時代である。
☆既存の知識を組み合わせるだけではなく、新しい知識と新しい構造という前提から創造しなければならなくなる時代である。一人の英雄が歴史を動かしてきた時代では、もはやない。それに一人の英雄が歴史を創ってきたという発想自体幻想で、実際には多くの匿名の人間がかわってきたのだ。
☆これからの時代は、その匿名の働きをして歴史に埋もれてきた人々が、集合天才として個人の顔が見えるようになる。そこに英雄とそれを支えるその他大勢という格差社会を創造的に破壊しようというのが21世紀社会である。
☆優勝劣敗型利己の時代から集合天才型個人の時代がやってきたのである。
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