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2019年中学入試の新フレーム(06) 大妻中野そして麻布 時代の精神を共有。

☆集合天才型個人の育成。この発想は、前々から持っていたが、このフレーズで語ろうと決めたのは、麻布の国語の問題と社会の問題を解いて(眺めて)みたことと、大妻中野の新思考力入試の論述問題と同校のあるイベント参加のニュースを見たのが大きなきっかけだった。
 
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☆前回も紹介したが、麻布の今年の国語の入試問題は、1人主人公の成長物語ではなく、仲間の成長を通して主人公が成長していく物語で、その成長過程の行動や気持ちを読み解き、メタファーを通して自分のイメージを結ぶ問題だった。幸せを「共感」する物語。
 
☆一方、社会の問題は、ハンセン病患者や移民に対する心の奥に潜む闇をSNSなどで一斉にぶちまける不安と嫌悪と排除という心理がないまぜになったルサンチマンの暴発を現代の情緒的共感が増幅してしまう心理的構造を問いかけた。
 
☆2つの「共感」――理性的共感と情緒的共感の葛藤が現代社会では明快に前面にでて広がっている。
 
☆この問題をなんとかしたいという時代の精神を、入試問題を通して生徒と共有していく麻布のメッセージ性の濃厚さに、私学のミッションを感じたわけだが。実は、大妻中野の合唱部は、中学入試の真っ最中に、ハンセン病問題シンポジウムに出演していた。
 
☆そのシンポジウムに参加した生徒たちは、こんな思いを共有してきたようだ。
 
「私たちが今すぐに出来ることは少ないかもしれません。でも、知らなければ考えることさえ
出来ない問題がある、と認識し、たくさんのことを知ろうとする姿勢が大切だと思います。
そして、身近な人はもちろん、まわりにいる人たちの存在を、かけがえのない大切なものだと思うことから、差別や偏見を防ぐことが出来るかもしれない、と思いました。」
 
☆同校サイトにこの記事は紹介されているが、その記事のタイトルはこうなっている。
 
「知る は幸せのタネ(合唱部 ハンセン病問題シンポジウム出演)」
 
☆まさに大妻中野合唱部のみなさんは、理性的共感力を発揮することの重要性を感じている。つまり2つの共感の葛藤を解決するための想いを時代とともに共有しているのだ。そして、その時代の精神は、麻布という私学の系譜とも共鳴しているのである。
 
☆そんなことを朧気ながら思っていた時、大妻中野の新思考力入試問題を見て納得。特に、その小論文型の問題を見てなるほどと。
 
☆その問題について、以前こうご紹介した。
TIMEは、毎年「その年の人」を表紙に載せる。時の大統領だったり、ビル・ゲイツのような革新者だったり。歴史に影響を与えた人物を選んでいる。しかし、2006年は、<You>だった。一人の英雄ではなく、SNSで、一般市民が共同体を形成して歴史を動かしているというのだろう。この<You>を選んだ意味について、400字から600字で論述する問題。
☆一人の英雄の時代ではなく、<You>の時代なのだと。この<You>をめぐって、2つの「共感」の意味が問われるわけだ。
 
☆もちろん、大妻中野の生徒さんは、シンポジウムで感じてきた通りの理性的「共感」に立って、自分の進路を探究していくのだろうが、そのとき一人でではなく、それぞれの才能を開花した多くの仲間といっしょに歩んでいくだろう。
 
☆このような人間を育てることは集合天才型個人を育てることではないだろうか。
 

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