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2019年中学入試の新フレーム(08) 女子聖学院 聖学院と共に新世界へ

☆毎日新聞(2018年2月9日)に次のようなプレスリリースが掲載された。「女子聖学院中学校・高等学校の生徒がパラスポーツの魅力を世界に届ける映像を制作 -- 聖学院中学校・高等学校の男子生徒との共同企画」。
 
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☆記事によると、「女子聖学院中学校・高等学校(東京都北区)では、2020年の東京パラリンピックに向けて、パラスポーツの魅力を世界に届ける取り組みを展開している。その一環として、同校の生徒有志が聖学院中学校・高等学校(東京都北区)の男子生徒とともにパラスポーツの魅力を描く映像制作に取り組む。2月17日(土)の放課後に映像を制作。制作した映像は、パラリンピックのPRに活用してもらえるよう各方面に働きかけていく。・・・・・・・『世界を変えるデザイン展』に出展する」とある。
 
☆このプロジェクトは、いわゆる総合学習の枠内で学ぶようなものとはかなり違いがある。多くのNPOや企業と連携して、講演やワークショップを実施するという点は、共通するかもしれないが、世界に働きかけていく活動をするという点で、特筆すべきところがある。
 
☆学びの一環ではあるが、官僚や企業人として活動するわけではない。インターンシップで学ぶ生徒という立場にあるわけでもない。たしかに、学んだ成果を発表するという生徒の立場にありながら、それ以上の立場にたっている。その立場とは、グローバル市民の一員として世界に働きかけるというこうことなのだ。
 
☆これはもしかしたら、女子聖学院、男子聖学院というキリスト教学校の使命として、当たり前のことなのかもしれないが、中高生が、ICTを駆使し、世界に直接発信していくのである。
 
☆今、身近な生活環境から世界まで、心が凍てつき、不安の渦が増殖し、偏見がぶつかり合って、嫌悪感が蔓延している。この負の共感力が、分断を生み出し、悲惨な事件が多発している。
 
☆この液状化した近代社会の影の部分を払しょくするために、世界中が苦悩しているわけである。国際政治は、毎日のようにそこを議論している。
 
☆しかし、結局は、グローバル市民が心のバリアフリーの精神を豊かにしていくしか近代社会の夢や希望を実現できない。時代の要請は、そこにある。
 
☆その呼びかけを引き受け、生徒1人ひとりが動き出しているのが、女子聖学院と聖学院だ。
 
☆英語力や思考力はもちろん必要だろう。理性的共感力ももちろん大切だ。しかし、今回のプロジェクトは、そういう能力を養うために行うのではない。大きな目的は「心のバリアフリー」を広げ、多発している衝突をなくそうとすることだ。
 
☆まさに、man for othersというキリスト教精神の実行である。英語力、思考力、理性的共感力は、その活動の過程で、たしかに養われるだろうが、この活動ができる前提として、そのような能力が日々の教育の中ですでに養われているのだ。
 
☆女子聖学院や聖学院の教育では、大学に合格するための英語力や思考力を身に着けることが最終目標ではなく、そこはman for othersの実現のための出発点なのである。ここが、聖学院グループの教育の質がいわゆる進学校と大きく違うところである。
 
☆そういう意味で、2つの聖学院は、新世界に足を踏み入れているとみなすことができよう。生徒1人ひとりが、かけかげえのない価値ある存在に成る場としての学校。未来は、このような存在がたくさん成長することによって、希望がかなうのである。

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