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教育の再定義の時代「グローバル教育3.0」(03)グローバルコミュニティ ①

☆2月18日の「新中学入試セミナー」は、2つのパネルディスカッションが実施されたが、どちらも本邦初の内容について議論した。そういう意味では、「教育のコペルニクス的転回」というコンセプトはぴったりだった。1つ目のテーマは、「グローバルコミュニティと連携する」。
 
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☆コーディネーターは、株式会社スタディエクステンション代表鈴木裕之氏(GLICC主宰:中学入試から大学入試までの帰国生入試のリサーチャーとして第一人者)。

☆パネリストは、上記写真左から八雲学園菅原久平先生(高等部長)、文化学園大学杉並窪田淳先生(国際部主任)、工学院大学附属田中歩先生(英語科主任)、聖学院伊藤豊先生(高等部長)。

☆私たちは、今まで英語教育の延長上に、語学研修、留学というものを置いていた。しかし、今回4校のグローバルコミュティの連携は、英語教育の延長ではない。

☆ルネサンス、産業革命、宗教改革、大航海時代以来の近代化の中で誕生した世界市民の再定義としてのグローバルシチズンシップの育成に挑戦する取り組みなのである。

☆もちろん、この前提として、大学の学部のゼミで議論でき、エッセイが書けるぐらいのCEFR基準でいえば、C1英語の力は必要である。しかし、このC1英語というのは、実は21世紀型教育機構では、わかりやすいので、こちらをとっているが、本来は、CEFRは英語のみの基準ではなく、多言語の基準である。したがって、本来はC1言語と表現したいところなのである。

☆というわけで、グローバルコミュニティとお連携には、英語のみならず言語のC1レベルを育成することが前提になっている。

☆そのうえで、そのコミュニティと連携し、グローバルシチズンに必要な認知的能力と非認知的能力の両方を互いに高め合いながら、世界共通の問題をシェアし、それを解決する活動をしていく準備をするのである。このようなコミュニティと連携すると、生徒はそれぞれ気づきが生まれる。

☆これは、語学研修でも留学でもそうなのであるが、それを議論やプレゼン、エッセイなどの一連の言語化を通して共有し、さらになんらかのアクションを起こしていくというグローバルシチズンシップにまで、成長させることはなされていない。せいぜいレポート提出ぐらいだろう。

☆つまり、気づき→言語化→活動という転換・変換過程を徹底するのが、グローバルコミュニュティとの連携の重要な意味なのである。

☆この違いに気づいたのは、21世紀型教育機構をサポートしてくれる大学生チューターといっしょに仕事をしながら、その過程で彼らがどのようにグローバルコミュニティと交流を深めてきたかを知ったからである。

☆たしかに、彼らが所属してきた学校は必ずしも21世紀型教育機構加盟校ではない。というか、彼らの中高時代には、機構そのものが存在していなかった。ともかく、彼らの時代は語学研修というグローバル教育1.0の時代は過ぎ去ていたが、まだ、留学がメインストリームのグローバル教育2.0の時代に入っていたころだ。

☆したがって、自分たちが思い描いていた、海外の人々の生活や価値観が、まったく先入観に過ぎなかったことに気づき、そのことをレポートとして言語化するところまでいっていた。しかし、たいていはそこで終わりである。もちろん、帰国後、学内でプレゼンし、それを共有するところまで行っている学校もあった。

☆しかし、その後も、彼らは、それぞれ独自に、国内で行われる海外交流イベントやグローバルリーダー研修に参加し、自分たちが自己変容し続けなければ、グローバルな活動はできないことを、共感できるメンバーを増やす活動に身を投じていた。

☆東大や慶応医学部に合格したメンバーは、大学入試直前にもかかわらず、先生方が今はがまんしてというアドバイスも聞かずに、自分が世話になった留学先の友人の友人たちが日本にやってきたからといって、いっしょに日本を見て回った。

☆単なる観光で終わって帰国させては、日本の文化のステレオタイプを確認させるようなものだと、コミュニケーションをとりながら日本体験をしてもらうことで、先入観や固定観念を創造的に破壊したいという熱い思いからだった。

☆実にすてきな、これこそウェルカムの精神なのだが、グローバル教育2.0の段階では、これはレアケースである。

 

 

 

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