教育の再定義の時代「グローバル教育3.0」(06)グローバルコミュニティ ④
☆ところが、中学入試業界では、BC州との連携というのは、カナダの公立学校との連携で、それがどうしたのという感覚がほとんど。
☆カナダの学校は米国やドイツのように州の独自性があって、いわゆる日本の文科省的な存在はない。つまり、本当にグローバルシチズンシップが日常そのものを形成している。
☆日本のように、市民革命を経由していない近代社会では、そのことの重要性がほとんどわからない。
☆日本の教育改革が進めば進むほど、おかしくなっていくのは、それが改革の本来的な意味を有していないからなのだが、そのことも理解することは、一般に難しい。公立学校の教師は、上からの改革にほとんどが反対し、自分の教授技術を高めることで、満足している。
☆しかし、実にそのような上からの改革に距離をとりながらも、協力するところはし、できないところは、独自の改革を進めてきた。そして、そうでありながら、欧米の世界標準の改革に適合させてきた私立学校。だからこそ、多くの私立学校にとっては、文杉の決断は羨ましいほど重要であることが了解できる。
☆では、自分たちもやればよいのではないかと。しかし、文杉は、日本のファッション教育界をリードし、その実力は常にファッションデザイン大学の中で世界ランキング5位以内をキープし続けている巨大なリソースを持っているのである。
☆BC州という自治体であるグローバルコミュニティとたった一校では、連携はできない。BC州も文杉一校と連携しようとは思っていない。きちんとリサーチをして、日本各地に専門学校を配置している文杉グループ全体と連携しているスケールメリットを計算してのことなのだ。
☆BC州のカリキュラムは、21世紀型スキルをリードし、認知的能力と非認知的能力を8つの能力資質で鍛え、それらを対話やディスカッション、ルーブリックによるリフレクションなどのコミュニケーションによって統合する優れたシステムとして完成している。
☆2020年の我が国の大学入試改革や新学習指導要領のモデルの1つでもあるのだ。
☆しかしながら、実際にはその改革のスピードは遅々たるものがある。であれば、すでに完成してなお進化し続けるBC州と連携したほうが生徒の未来は開かれると英断したのが文杉理事会である。
☆BC州との連携は、3年を経て今年の春卒業生の旅たちを見送るのであるが、その成果は、はやくも花開いた。
☆海外大学、ICU、早稲田、慶応など13人の卒業生の努力は大いに実った。
☆エッ、結局大学実績が重要だったわけなんだと思われるかもしれない。しかし、これもまた、日本と海外の大学進路への価値観が違うということに、気づいていないのが、日本の受験業界や学校なのである。
☆欧米のカリキュラムやOECD/PISAのリサーチカテゴリーもそうであるが、その道のりは、キャリアへの道という自覚があってはじめて高校で学ぶということが選択されるのである。
☆どういうことかというと、大学に行くなら、そこで研究する準備として高校のカリキュラムがあるから、大学に行くためのカリキュラムであるということが大前提なのだ。
☆日本は、大学に行くために教育があるわけでも、仕事をするために教育を受けるわけではないということになっている。大学や専門学校にいくための勉強は予備校でやりなさいと。
☆教育は人間力(非認知的能力)を育成する場なのだと。
☆ところが、欧米では、一般に認知的能力と非認知的能力のコミュニケーション(弁証法)的統一は当然であり、大学側もその意味でのコミュニケーション能力を要求している。
☆しかし、これもまた、日本では理解不能なところだが、欧米にとっては、コミュニケーションが論理的・批判的・創造的思考力、非認知能力の書関連を密にしていく発達段階を経る重要な能力であるのである。
☆CEFRも英検などのレベルを表現するのではなく、人間の言語生活の発達段階のことを示唆している。
☆しかし、このような違いやコミュニケーションとは何かという再定義を公立学校が行うことはない。私立学校は、そのことを批判しても、理解してもらえないことを歴史的に知っている。
☆それゆえ、独自に展開し、いつもデファクトスタンダードをつくって、その後で、公立学校が受け入れるということを繰り返してきた。その典型例が公立中高一貫システムである。
☆そして、今後は公立学校によるIBの運営であろう。
☆しかしながら、どれをとってもBC州は先を行っている。つまり、文杉は先を歩んでいるということなのである。そして、今後、そのことが明快に理解されていくこととなろう。
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