【速報】東洋大学京北 定員増戦略成功する。
☆今年の中学入試から、東洋大学京北中学校は、定員を90名から120名にした。少子化が激しい中学入試であるが、都心は逆に増えている。その動向の機を見るに敏な戦略は見事に成功した。
☆出願そのものは、このところの高人気ゆえ敬遠されていたが、首都圏模試センターによると、最終的には、手続き者は120名を優に超えたようだ。いわゆる偏差値層も高くなった。
☆併願校も、早稲田大学グループ、明治大学グループ、中央大学グループ、青学グループ、日大グループ、成城学園などがずらりと並ぶ。やはりレベルはかなり高い。ともあれ、形式倍率より実質倍率や歩留まり率という実質がよかったわけである。
(哲学授業の様子。豊かな対話が生まれるスタイル。写真は同校サイトから。)
☆この人気の秘密は、共学校ということもあるだろうし、THE2018年の世界大学ランキングに入っている東洋大学に推薦で進める枠が100人強あるということもある。ちなみに、この世界大学ランキングに青学や立教は入っていない。
☆つまり、東洋大学自体が、人気があり、グローバルな分野でも実力が評価されているのである。そういえば、スーパーグローバル大学にも認定されている。
☆しかし、何より、学内で、6年間一貫した哲学プログラムが形成されていて、対話、プレゼン、論文編集など深い学びの環境があることが大きい。AI社会において、生徒たちの生きる支えになる知恵を養えるか否かは、昨今の中学入試市場では重大関心事であるからだ。
☆したがって、入試問題は学校の顔であるから、この哲学教育の大切な思いを「哲学教育」思考・表現力入試でメッセージとしてアピールしている広報戦略も中学入試市場の注目を浴びたということだろう。2020年大学入試改革がどの程度実行されるかは雲行きは怪しいが、そんなことにかかわりなく、対話力、思考力、表現力が重要になることに間違いはない。
☆同校は、東洋大学自身が、グローバルリーダーの集うアジアのハブ大学になろうとしているから、当然グローバル教育にも力を入れている。
☆しかし、それは単に英語力を鍛えるという程度の意味でグローバル教育なのではない。そのイメージは、創設者である高名な哲学者井上円了の知に挑む姿にある。
☆EUの父といえば、リヒャルト・クーデンホーフ・カレルギーだ。戦後、彼は、各国各界のリーダーと語りあった。自由はフランスとアメリカが手に入れた。平等はロシアが手に入れた。しかし、博愛はまだどこの国も手に入れていない。ヨーロッパ合衆国で、それを実現しようと。
☆特に、被爆国日本は、その先頭に立って世界をリードすべきだと提唱した。彼は、オーストリア=ハンガリー帝国の外交官であるハインリヒ・クーデンホーフ・カレルギー伯爵と青山光子の次男である。映画『国境のない伝記--クーデンホーフ家の人々』では吉永小百合が光子を演じていて、日本でも有名な家系である。
☆当時のクーデンホーフ・カレルギー家の子どもたちは、当然、エスタブリッシュなギムナジウム(日本の中高に相当する)に通い、そこでリベラルアーツを学んでいた。
☆したがって、親日派のハインリヒは、日本に来た時に、井上円了とも親しくなり、夜を徹して哲学談議をしたというエピソードが残っているらしい。
☆つまり、東洋大学京北でいう、哲学は、グローバルリーダーと対話ができる良質の糧を養うわけである。
☆井上円了の東洋哲学は、今また世界で注目を浴びているマインドフルネスやZENの世界を深く理解する世界でもある。
☆そういう意味で、6年間一貫した哲学教育に、期待がかからないわけがない。
☆そして、当然このような骨太な論文編集指導が、大学合格実績にもきっちりつながることも、予想できることだ。この部分については、学校長石坂先生のことを知っている業界人にとっては、暗黙の了解である。
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