思考コードで見る「教育・産業・社会」(16) AI学習塾がC領域思考人間力育成市場を広げる。
☆会場に向かう間、例によって「サンデー毎日2018.3.15」を電車の中で読んでいたが、紙媒体を電車の中でパラパラとするのが久しぶりで何か新鮮だった。
☆大学通信のリード記事が、東大合格校の中で、栄光学園や日比谷高校の復権や京大合格校における北野高校の復権などについて語っているのを読みながら、変化している何かについて伝えようとしているなと思っていると、「暗記に頼る受験生が東大入試では不利に」という小見出しが目に入ってきた。
☆そいう時代になったかと思いながら、ランキングリストに目をやると、渋谷幕張や駒東、武蔵がダウン幅が少し大きいかなと。暗記に頼るのではなく、考えることをベースにした学校だけに、逆だったらよかったのにと。
☆それとも、考える教育と受験勉強が統合されていないのかなとも思った。ここらへんは、いずれ多くのメディアや情報シンクタンクが話題にするだろう。
☆そう思って、目次をみると、内田樹氏や前川喜平氏も寄稿していたので、そちらにジャンプした。すると、エッ!なんでこんなに長いのと思うくらい長文だった。どうやら、まじめに、日本の大学は変わらなければならないのに変わらないことについて憂い、自分で考えて、自分で判断し、既存の知識を疑い、自ら創るぐらいの勢いで生き抜くようにと大学生にエールを贈っているようだ。あるいは、もはや東大一強の時代ではない、それが希望だなんて、なんか保守的な大学合格実績公開のいつものノリとは違うなあと思いつつ、あっという間に会場についた。
☆開場の時間に間に合うようにいったのに、すでに満席だった。なんということだ。それにとてもカジュアルな感じで、私立学校の説明会とは、真逆の雰囲気だった。活気があるという点では、共通していたが、これも新時代の兆しだと感じた。
☆そして、さらに驚いたのは、パネリストは、それぞれ塾のオーナーであるが、互いにアプリやソフトを購入して相互に活用しているのである。これは、今までの塾とは違う。四谷のテキストを日能研が買うとか、その逆とかはまずないだろうし、ソフトを販売する方と買う方は支配被支配のような関係になるのが、普通だ。
☆それぞれがソフトパワーを持っているから、持ち合うことが可能であり、柔らかい組織の市場形成ができている。公立学校だったら、自治体がどのソフトやハードを活用するか決めるし、私立学校はそれぞれのオリジナリティを公開することは稀である。
☆なぜそれが可能か?それは市場でお金を出して購入するという経済がベースであるからだ。だから、このAI学習塾のネットワークはwin-winの関係になる。もっとも、オーナーが強欲だと破綻する。だから、誰でもよいから組むわけではない。意志やビジョンや貢献という本質を共有できなければならない。
☆優勝劣敗型競争市場ではない。これは妙に東大一強ではだめなんだという前川氏の話とシンクロしていた。
☆AI学習については、実におもしろいのは2つのALについて、使い分けていたところ。つまり、首都圏模試センターの「思考コード」でいうA領域思考は、AIを活用して、生徒の躓きの場所をナノステップにわけ、リアルタイムな学びのヒントの情報をAIが提供する。
☆おお、こんなところにヴィゴツキーの「最近接発達領域」が展開しているとは、おもしろいではないか。つまり、これをアダプティブラーニングという。
☆そして、時間が余るから、ビジョンベースドラーニングとかいろいろそれぞれの塾が名付けているが、要はアクティブラーニングを実施する。
☆たとえば、花火大会の企画をして、それをドローンで撮影して、動画を作成しVRで見るという大人も驚くぐらいのテクノロジーを駆使するアクティブラーニングを行ってしまう。サプライズ。これこそモチベーションアップ。つまりGrowth Mindsetなのだ。いよいよC領域思考へのジャンプの準備が整う。ただし、塾だから、ここはきっかけ学習で、本格的にC領域思考は行わない。
☆ともあれ、この2つのアクティブラーニングの使い分けによって、教師の役割も変わるのだと。A領域思考は、AIに任せ、足りないところをコーチイングする。AIに任せているからデータでどこで躓いているのか詳細に瞬時にわかるのである。
☆そしてC領域思考については、教えるというよりジェネレーターだという。
☆おもしろいのは、今までの学習塾のように、A領域思考しかやりませんではなく、C領域思考もやりますというところ。もっとも、そこをさらに深めるのは、学校でしょう。ということは、本当は、学校がC領域思考の授業を広がるトリガーというかプレッシャーをかけるのが、今のAI学習塾の役割だということにならないだろうか。
☆なぜなら、彼らが現在想定しているのは、20世紀型教育を行っている学校。だから、まだC領域思考にAI導入に投資しようとは考えていない。学校はそこを先取りして開拓しておかないと、ヤバいのでは。
☆ともあれ、AI学習塾オーナーは、はじめに富岡製紙工場とグーグル―の仕事場を比較する図を映した。こんなに仕事が変わっているのだと。
☆次に20世紀初頭の学校の授業の様子と今の授業の様子の写真を比べた。それが全く変わっていないものだった。学校はまだ変わっていませんよねと。そして、いろいろAI学習システムの方法を説明したあとで、新しい学びの様子を写真や動画で披露した。
☆私にとっては、それは21世紀型教育機構加盟校の日常のシーンだった。やはり、21世紀型教育機構は、多くの学校と比べて、進んでいるようだ。すでにグローバル教育3.0に突入して、次のステージを模索している。
☆もし、21世紀型教育機構が、AI学習環境を導入したら、もっと進化するなと確信した。ただし、C領域思考人間をサポートするAIでなければならない。
☆これは、エッシャーとバッハと現代数学の3つの領域の情報をAIに学習させれば、可能である。もちろん、これには膨大なコストがかかるが、麻布のような生徒のC領域思考人間の頭脳をアルゴリズム化すればよいだけだ。
☆それに東ロボくんで実験済みのように、A領域思考でも、完全にAIで生徒は学びきれない。教師の役割がまだ必要だ。C領域思考でもそうである。
☆今回のAI学習塾のオーナーが目指していた、AIと人間知のコラボが当面は成り立つだろう。しかし、そんな時代は、2025年にすぐに訪れ、訪れるや否や次のステージが見え隠れするだろう。
☆だから、C領域思考人間としてクリエイティブクラスを育成する学びの環境を急ぐことよりほかに道はないだろう。ここは内田樹氏とシンクロする。とにも、面白かった!ここには、塾歴社会なんて概念は全く存在しないのだ。
☆いまのところまだ小さな市場かもしれない。しかし、たとえば、知り合ってまだ2年も経てっいない株式会社メイツの経営する塾は、500人→800人→1000人と増えている。高田馬場を拠点に都内を席巻し、最近多摩エリアと神奈川に教室展開している。ますます増えるだろう。
☆工学院は株式会社メイツとパーソナライズな非認知能力の成長をデータと教師の経験を重ね合わせて見守るシステムを開発中だ。カリキュラムマネジメントシステムの一環。
☆これから、どんどんそういう連携が、他でも広まるだろう。東大一強時代も塾歴社会も崩れるのも時間の問題だ。Z会も河合塾もこの連携ネットワークを広めてもいる。ますます、塾歴解放連合グループの勝利は見えてきた。
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