2019年中学入試の新フレーム(21) 学校選択は、入試問題の問いの質を指標にする時代
☆授業やテストで知識や理解レベルの問いしか投げられない場合、当然、生徒の思考力は知識の再現や活用どまりで、それ以上の深い思考力は、それぞれの生徒次第ということになってしまう。
☆しかし、論理的・批判的・創造的な深い思考を活用する問いを投げらえる授業では、今まで知識の再現とその活用レベルで停滞していた生徒が、自己変容して、深く考えるようになる。
☆そして、その過程で、生徒1人ひとりの才能が芽生え、やがて開花するということになる。このような自己変容型知性を大学に入ってから育てればよいと考えるのか、18歳までに育つ環境があればよいと考えるかは、自由選択であるが、そのどちらの考えかを教育方針としている学校であるかどうかがわかるのは、端的に入試問題の問いの質である。
☆問いの質こそ、その学校の教師の頭脳の質であり、人間としての力量である。
☆そのとき忘れてはならないことは、時間と受験生の数という制約である。豊島岡女子のように受験生が多くて、合格発表までの時間が短い場合、その制約内で創意工夫して思考の深さを問う問題を作成している。その条件を無視して、論述問題を出せば、素晴らしい問いだなどと判断すると、見誤ることになろう。
☆だから、三田国際は、4科目入試で、各教科必ず、知識・理解の問いを30%程度、応用・論理的思考の問いを30%程度、批判的・創造的思考を要する問いを30%程度という創意工夫をしてきた。麻布や開成がそうなのと同じだ。
☆しかしながら、最終日には、批判的・創造的思考を要求する問いを100%出題する「21世紀型入試」を行った。出願数が4,000人弱の学校だが、最終日は、受験生の数は限られてくる。三田国際は、入試日によって、条件が変わることを読んで、問いの質も変化させているのだ。
☆このように、量と時間の条件を確認したうえで、問いの質を見てみると、学校選択の見方も変わるだろう。中学受験は、学びに対する自分の先入観や固定観念から自由になる大きな機会でもある。
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