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2019年中学入試の新フレーム(22) 思考力入試の背景には、数学とアートと量子力学を置き換えるスキルあり。

東大の伊東乾准教授の「ノーベル賞間違いなし、日本発「準結晶超伝導転移」(JBpress2018年3月6日) 」の記事を読んで、いつもながらやっぱり武蔵出身だなあと。この超伝導転移を進化させるときに「準結晶」という構造が関係するらしいのだが、それと理論物理学者ベンロールズによるタイルやベンローズと親交のあったエッシャーの幾何学的な図形を結び付けている論考。
 
 
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☆ホフスタッターの「ゲーデル、エッシャー、バッハ」を思い出し、超電導は「ペンロールズ、エッシャー、バッハ」でいくのだなあと。ついでに、Youtubeでリヒテルの「平均律」も聞いてみた。
 
☆自由電子が、バッハの対位法によるポリフォニー構造を自由にビュンビュン通過する姿を思い浮かべた。それが通奏低音の響きをつくっているのかもしれないと妄想。
 
☆このポリフォニー的構造を図形に置き換えるとエッシャーの絵になるわけだ。そして、この絵が、新たな超電導転移を発見する発想のピースになっているのかもしれないと思うとワクワクしてしまう。
 
☆フラーレンという物質も、サッカーボールや建築家であり思想家でもあるバックミンスター・フラーのジオデシック・ドームの形と化学反応を起こして生まれ出た。たぶん新物質の名前は、バックミンスター・フラーに由来するのだろう。
 
☆化学―スポーツ―音楽―絵ー―・・・・・・―図形という置き換えスキルの連鎖が創造的破壊を引き起こすわけだ。
 
☆最近、教科横断だとかSTEAMだとか創造的思考だとかデザイン思考だとかいう言葉をよく目に耳にするが、ここには、難解な式や膨大な知識はない。
 
☆むしろ、この置き換えスキルを使わせない機会損失を教育はわざわざ行っているかのようだ。難解な式や膨大な知識を覚えないと、このような置き換えスキルを発動できないのだろうか。
 
☆私は、考えるということは、置き換えスキルのメタモルフォーゼだと思っている。確かに対位法は、バッハ以降すたれたかもしれないけれど、多様性だとかフラクタルだとか現代美術や現代哲学に手を変え品を変え連続して継承されえtいる。
 
☆そう、手を変え品を変えという「置換スキル」は、やはり有効なのだ。
 
☆言語化→図式化→数式化→絵画化→音楽化→舞踊化・・・など多様な表現に置換するスキル。
 
☆フランク・ロイド・ライトも、幼き頃の積木遊びが建築やロゴなどの作成に影響していると語っているが、それもまた置換の連続なのである。
 
☆小論文も、トピックやテーマの変奏曲である。膨大な量の聖書も、要約すれば「信仰=愛」ただ一点あるのみである。
 
☆知識は置き換えスキルによって、大量に記憶される。バラバラの暗記では、知識は創造的にならない。知識と創造は別物ではなく、置き換えによってちゃんと結びつくのである。そして、その結びつきが、化学反応を起こすわけだ。
 
☆こんなことを考えていると、今年の慶応義塾大学薬学部の化学の電気伝導性の記述や東大の生物の記述も結びつく。
 
☆植物は有機体であるけれど、高温地帯で伸長性が増す理由の背景には、光合成という化学反応が活性化するからだが、同じ原理で考えていくことができるかもしれない。
 
☆つまり、熱が高くなると自由電子の動きは鈍くなる。ぶつかり合うからだ。伝導性にとっては自由電子の動きが遅くなるから困るわけだが、光合成にとってはぶつかり合うことが化学反応に結びつくわけだ。
 
☆すべては妄想であり、物語に過ぎないが、創造的才能者は、この論理的存在の物語の妄想から始まる。
 
☆これが、東大の問いの条件の「自由な発想で、合理的に書け」の本意なのかもしれない。
 

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