【メモ】Mの衝撃波が生み出すアクティブラーニング(AL)3.0
☆それを突き破るAL2.0へ飛ぶには、たとえば、今年の東大の現代文で出題された野家啓一氏のような思考のフレームワークというかパラダイムが必要になる。AL1.0のフレームは教科書という記述編集視点を素朴実在論的に信じるところで終わっている。
☆そのような素朴実在論は、科学でも歴史でも事実というものを論理的存在とか物語り的存在という生産視点の多元化を論じているフレームワークによって超えられる。AL2.0がこの立場で、少なくとも大学院で研究しているクリエイティブクラスにとっては、これをPBLと呼んでいる。
☆しかしながら、野家氏のパラダイムは、先日対話をしたMやミネルバ大学の教授陣や学生にとっては、アップデートすべき対象である。落合陽一氏にとってはあまりにもそれは当然のこと過ぎる。
☆いったいAL3.0とは何か?先日のMとの対話では、そのヒントがだいぶあった。たとえば、AIの描く世界はいかなるものか?などの類の問いは、AL2.0の枠組みの中にあり、AL3.0の枠組みでは、問いはさらに変容すると。
☆その問いが何であるかは、当面公開しないと約束したので、2019年の中学入試直前に語れるかもしれない。
☆しかし、いずれにしても、AL1.0とAL2.0、AL3.0 で教育格差が起きてしまうことも確かだ。これらはモチベーション格差でもあり、パラダイム格差でもある。次元格差と言った方がよいかもしれない。
☆これとはまた別にアダプティブラーニングという微細で、大きな格差を生んでしまう事態も起きている。それは、アクティブラーニング1.0にAIを入れ込むことによって、アダプティブラーニングに横すべりするという微細な差異。しかし、アナログのAL1.0とアダプティブラーニングを活用したAL1.0では、雲泥の差がついてしまう。
☆もし、2020年の大学入試改革が、AO入試の強化と国立大学の記述問題の変更がある程度で終わるならば、いわゆるMARCHクラスは、AI活用のアダプティブラーニングで競われることになり、もはや偏差値格差ではなく、テクノロジー格差が生まれるだろう。
☆そんな馬鹿な?と思うだろうか?実際にZ会や河合塾で実験し始めている。中高の学習塾の中でも行われ始めている。行われていないのは、学校ばかりだ。
☆結局、英語力とICT力をアップさせればそれでよいということになる。しかも、その方がB領域思考までデフォルトができてしまうから、日本の産官学にとっては喜ばしいことなのだ。もちろん、個人にとっては、もはや発想の自由はない。合理的で最適化された言動に従うのみである。
☆しかし、自分たちはテクノロジーを自由に駆使できるから、まさか発想の自由がコントロールされているとは気づかないわけだ。
☆だれがコントロールするのか?AO入試や国立大学の論述記述の学びをAL3.0のパラダイム次元で行った人間によってである。もちろん、彼らもコントロールしているつもりはない。最適化という計算を通してマネジメントしていと思うだけだろう。
☆AL1.0 次元では、社会は全体意思という共感によってなり立っているという物語幻想が横たわる。
☆AL2.0次元では、全体意思への共感はファシズムへの危うさであると一般意思によって回避しようとする。
☆しかしながら、AL3.0次元では、その一般意思でさえも、ファシズム回避はできないということをクリティカルシンキングでき、デジタルネイチャーという自然状態の最適化計算によって、一般意思のリスクヘッジをマネジメントしていく。しかし、それがAL1.0やAL2.0次元の人間にわかったとき、彼らはAL3.0人間にコントロールされていると感じるだろう。
☆この無限の次元の連続をどこで止めることができるのだろうか?野家氏の語る神の視点。数学の世界や物理の世界で探究が続いている神の数式。果たして見つけることができるのか?
☆もちろん、未規定のままだ。だから、AL3.0がそれを渇望する。そこにイノベーションが生まれる。神の視点や神の数式は、何であるかはわからないだろうが、そこへの探究の道で生まれる新たな問いがイノベーションを創造するのだろう。これは、トマス・アクィナスの神の定義で、13世紀を経て、ようやくそこにたどりついたとは。。。
☆かくして、2020年大学入試改革とそれに伴う学習指導要領の改訂がなかなか理想的な実現に到達できないのは、AL1.0に終始するセミナーや研修ばかりが行われているからだ。改革に伴い新しいことに取り組んでいるはずだが、古い素朴実在論という教科書の知識を信仰する作業を徹底させているのだ。つまり、パラダイム転換なき改革。
☆このダブルバインドの状況を生み出している改革パラドクスの視点。実に恐るべし。
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