【感想】東大 民間英語試験合否判定に使わない理由。
☆恐ろしいと感じたのは、官僚の答弁と同構造であること。最初は知りません、やってませんとかいいながら、あとで覆る。3・11のときの見識者の答弁も同構造だったのは、記憶に新しいだろう。この構造、今もなお残る東大―官僚の精神構造の暗黒面。もちろん、すべてではない。良識ある東大教授陣もいる。
☆しかしながら、最初は、権威主張から始まるというのは、暗黒面のルーチンだ。内部でのクリティカルシンキング育成システムがないから、個人的には良識ある教授がいても、学内政治力学で負けてしまう。
☆それに、今回使わない理由に、公平性がどうのこうのと言っているが、TOEFLの方が何百倍も正当性・信頼性・妥当性というテスト測定学の学問的蓄積や業績があるというのに、何を言っているのだろうか。
☆公平性とか客観性とか、教育の世界では、権威主義的な知識重視主義者が語る常套句である。
☆だいたい、このテスト測定学の成果をセンター入試では、結局活用できず、やったことは平均点だとか偏差値だ。IRTをどこまで活用したのか、国民や受験生に詳細に公開されていない。おそらく、学会発表で公開したことにしているのだろう。
☆正当性・信頼性・妥当性の情報共有もしてこないで、公平性がどうのこうのと言っているのは、学問的におかしい。国民の税金を使って、国民をなめている。
☆しかし、そんな感情的なことを言っていると、本当に恐ろしいことが見えなくなる。実は、そこには、塾歴社会―学歴社会という、心のコロニアリズムという恐ろしい仕掛けが埋め込まれているのだ。ここをしっかり洞察することがより重要である。
☆その証拠に、日経のみならず、読売、朝日も、次の言説は同じなのだ。
「東大の方針は他大学の対応にも影響を与えそうだ。」
☆ここにピラミッド的な大学の階層構造がパッとみえるだろう。メディアは、平気でこう書いているのだが、一体何を意図しているのだろうか。
☆事実、予想、皮肉、逆説。。。
☆三紙が同じということは、おそらく何も考えていないだろう。東大が右向け右と言えば、みな右を向くという、暗黙のルーチンがあるだけだ。
☆サイードではないが、第二次世界大戦後のポストコロニアリズムは、国どうしの関係から、人々の心と心の関係にマインドセットされている。もっとも、国どうしの問題も、全く解決されていないが。ともあれ、そのことに気づかないのか、気づかないふりをしているのか、わからないが、そこが恐ろしいのだ。
☆いずれにしても。この発表までの間に、東大では、阿部公彦准教授によるセミナーを開いている。ベストセラーまで生み出す用意周到な演出をしている。阿部准教授は、東大の今回の発表の正当化理論として使われてしまった可能性がある。
☆東大は、明治維新のときから、官学の系譜と私学の系譜が同居していた。加藤弘之vs石川角次郎や福沢諭吉、権威主義社会vs世界市民社会。
☆そして、この教育における東大初綜理加藤弘之が練りあげた官学の系譜が、明治が始まるや、法典論争に影響し、世界大戦の正当化理論の土壌となった。
☆戦後、東大総長南原繁をはじめ南原の師である新渡戸稲造や内村鑑三の弟子である私学人も協力して、つまり私学の系譜が戦後教育基本法の成立に尽力。
☆しかし、すぐに教育基本法改正への道を官学の系譜は模索することになり、2006年、第一次安倍内閣のときに改正してしまった。
☆官学の系譜と私学の系譜は、ガラパゴス日本と地球市民社会との対比に相当する。東大の中にもこの両極の力学が働いているだろうから、なんとか塾歴社会=学歴社会=ガラパゴス日本の台頭を防ぎたい。
☆東大の大学入試問題に対する今回の判断そのことより、その背景の暗黒面が顔を出していることが恐怖であり、出してくれたからこそ地球市民社会側は、防御する準備を本格的にしなければならないだろう。
☆今もなお、東大法学部が官僚の中核である財務事務次官のポストを占拠している。東大なんて自分とは関係ないと思うのは禁物である。東大を暗黒面から救済するかしないかは、学校化社会となっている現在にあって、国民生活をガラパゴスにするか地球市民社会にするかに大きな影響を与えるのである。
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