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首都圏模試センターのプッシュ<プル戦略(1)新市場創出とソフトパワーの創発

☆首都圏中学入試市場において、首都圏模試、四谷大塚、日能研、SAPIXという4つの模擬試験があり、それをベースにシンクタンクが4つ存在する。
 
☆受験生の学校選択志向性情報と学校の教育の質とのマッチング情報を大量に作成して、学習理論や学校選択理論をプッシュ<プル戦略で行っているシンクタンクは、首都圏模試センターである。他の3つは、自らの学校選択方法や学習理論を市場に押し出すことに重点を置いているプッシュ>プル戦略である。
 
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☆首都圏中学入試市場で、プッシュ<プル戦略をとるか、プッシュ>プル戦略をとるかで、市場の形成の仕方が変わる。
 
☆プッシュ<プル戦略だと新市場の創出、イノベーションによってソフトパワー創発のベクトルで動くが、プッシュ>プル戦略だと、既存の市場の優勝劣敗競争を保守し、既存の学習理論を保守するベクトルを防衛しようと、動かざるごと山のごとしになる。
 
☆どちらがよいのか、それは市場のニーズと時代の要請が重なったとき、決まるだけであり、正解はない。
 
☆いずれにしても、首都圏模試センターは、ソフトパワーを創発するとき、中学入試動向の多様性を見つけたとしたら、その多様性を引き込みながらプロジェクトチームをその都度つくって、動くプッシュ<プル戦略が得意で、予測不能な時代の変化のときには、有効なような気がする。
 
☆そして、このような時だからこそ、思考こそ人間存在であり、考える葦としての人間が活躍することになる。
 
☆ICT、Web、脳科学、AIを土台とする時代に対応するとき、ハードパワーに手を出すプッシュ>プル戦略よりも、ソフトパワーの創発に集中するプッシュ<プル戦略の方が、小回りが利く。俊敏力という点では、優れているかもしれない。
 
☆3.11以降、教育のあらゆる局面で再定義が始まっているが、中でも「思考力」の再定義がコアになっている。2020年大学入試改革に伴う新学習指導要領のスローガンでもある「主体的・対話的で深い学び」のコアは「思考力」である。この「思考力」の再定義から、新学習指導要領改訂作業がはじめられたといっても過言ではない。
 
☆しかしながら、「思考力」とは昔からあった言葉だから、おっくの人は再定義しようなどとはなかなか思わないが、最近では「英語力」と「思考力」という言葉が、テレビや雑誌などのメディアで頻繁に話題になるテーマでもあるが、PRのキャッチに過ぎないくらいに思われているだろう。
 
☆首都圏模試センターは、まず時代の要請として「思考力」をキャッチし、市場がいつニーズとするかどうかリサーチしてきた。それが新タイプ入試という新市場の動向リサーチである。この情報をデータの裏付けをとりながら、情報発信しているところは同センターだけである。
 
☆そして、それに呼応して、同センター教務陣が、思考力の再定義を研究してきた。昨年まで、思考コードとしてデザインし、データを収集し始めたのがそれである。
 
☆しかし、この段階では、思考コードをどのように実践的に活用するのかまでは至っていなかった。したがって、「思考コード1.0」のステージだった。
 
☆ところが、昨年から、「思考コード」ベースのデータを収集分析することで、思考コードと思考スキルをデザインする見通しがでてきた。そして、4月15日の統一合判から、解答解説において、一問一答に「思考コード」と「思考スキル」が明記され、それに基づいて解説されることになる。すでに3月4日、経営者対象のセミナーで、告知されている。
 
☆これによって、生徒は、問いのレベルがどの思考領域なのか、この領域だとどのようなスキルを組み合わせるのかが見えてくる。
 
☆つまり、メタ認知能力を育成しながら、問題を考えられるようになる。一生懸命トレーニングを体験的に積んでいるのになかなか成績が伸びないという生徒が、この思考コードと思考スキルを活用するようになると、成績が伸びるという現象が起き始めるだろう。
 
☆そして、メタ認知能力が育成されれば、自分で未知の問題を解決できる思考力が身につくのである。
 
☆中学入試で、合格を勝ち得るだけではなく、学校に入ってからもその先も未知との遭遇に対して自らリサーチし、課題を見つけ、解決をしていくために何をしたらよいのかを考えることができる思考力を身につけられる。コストパフォーマンスが相当高い学びのモニタリングができる場が提供されることになる。
 
☆かくして、2018年、首都圏模試センターは、「思考コード2.0」の時代を牽引することになるが、もちろん、「思考コード」と「思考スキル」が、「思考コード3.0」の前段であることは予想するに難くないであろう。

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