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海陽中等教育学校 バージョンアップへ

☆海陽中等教育学校が、東京、名古屋を中心に「塾関係者向け説明会」で、教育のバージョンアップについてリリースを開始した。「建学の精神」は不変であるから、改革ということではなく、その精神をより具現化する方法を点検し、1人ひとりの生徒が今まで以上に成長できるようにするという趣旨のようである。
 
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☆海陽中等教育学校の教育のモットーは、「生徒各人の天分を信じ、愛情を持って教育に当たります。生徒は、文明の創造に尽くした先人を敬い、自らも明るい未来の創造に参画します。」ということである。
 
☆この精神は、12年前に開設された当初からのものだというのだから、その先見性に驚きを感じる。というのも、第4次産業革命に直面している今日ほど、1人ひとり違う多様な才能を伸ばし、創造性を発揮して、ビジョンをつくり、他者を巻き込んでいく力が重視されている時代はないであろう。
 
☆「文明の創造」。それは個々の才能がぶつかり合いながらも協力して社会を作りあげていく思考力と実行力の豊かさが必要である。
 
☆しかし、今、ある大手ICTメディアの調査によると、日本の12歳から18歳までの子どもたちは、自分に創造性があると思っているのはわずかに8%だそうである。
 
☆また、OECDの調査によると、日本の高校生が、他の先進諸国に比べ、自己肯定感が低いといわれてもいる。生徒各人の天分を信じる教育が失われてきたのかもしれない。海陽中等教育学校は、全寮制の学校である。ものごとを多角的に深く思考する時間がたっぷりある。日々協働生活をするという得難い実体験ができる。少人数主義の学校であり、1人ひとりと教師は対話する時間が十分にもてる。
 
☆これらのリソースをより有機的に結合して、子どもたちの天分をさらに実行力あるものにしていく覚悟が伝わってきた。
 
☆バージョンアップのポイントは5つ説明された。
 
1 カリキュラムの再点検
2 キャリアデザインの再点検
3 チューター制度の進化系としてのアカデミック・アドバイザー制度構築
4 基礎学力を強化し、探究的な精神を豊かにする学びのイノベーション
5 生徒1人ひとりの発達段階に応じた人間力形成の場として新ハウス体制の構築
 
☆だいたいこのような方向性だったと思う。
 
☆今、海陽中等教育学校では、「基礎学力という普遍的な能力」と「天分とか探究的精神とか人間力などといった個の多様性」の両ベクトルを、授業という知と全寮制=ハウス制度という愛情によって、大きな合力にしていく教育のバージョンアップが始まっているようだ。
 
☆すでにその準備がここ数年学内で行われてきたのであろう。今回の教育のバージョンアップによって、その成果の1つとなる大学合格実績は、東大、京大、国公立大、医学部などの合格者40名/1学年120名を輩出することになるという。
 
☆その手ごたえが、今年の大学合格実績にすでに現れている。東大12名、京大2名、北大4名、名大2名、一橋1名。医学部は次の国公立大学各1名合格。東北、群馬、岐阜、三重、名古屋市立、島根、宮崎。合計28名である。合格者を絞って、合格がさらに難化している早慶であるが、早稲田大学も慶應義塾大学もそれぞれ14名ずつ合格。
 
☆骨太の学力と豊かな人間力が強烈に育つ海陽中等教育の今後の動向について、大手塾や模擬試験会社のシンクタンクは、興味と関心を抱いた様子だった。

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