首都圏模試センターのプッシュ<プル戦略(3)思考力の再定義=パラダイム転換
☆イノベーションは、理論<実践、プッシュ<プル戦略によって生まれてくる。3種類の入試が中学市場にはあるという分析結果が、新タイプ入試動向の情報をさらに追跡することになり、その情報の分析が契機になって、これら3種類の成績表の統一性=神の数式を探究することになった。
☆それが、思考コードである。これによって、3種類のタイプ――思考力入試と適性検査型と分けると4種類になるのだが――のテストは、思考領域が違うだけで、思考力を育成する学び方は、【新思考力のモデル図】をベースにして豊かにしてけば良いわけである。だから、すべて受けて学んでいけば、最強の思考力を手に入れることができる。
【旧思考力のモデル図】
☆従来の思考力の考え方は、【旧思考力のモデル図】にあるように、知識や体験をインプットし、脳内に記憶が蓄積されていく。この蓄積庫から知識を引き出して理解し応用して論理的に組み立てて、行動したり表現したりする過程を思考力と呼んできた。
☆だから、知識が記憶されていないと思考は稼働しないと考えられてきたのだ。それゆえ、創造的思考や批判的思考、数学的思考を駆使して、自己判断する成長思考という潜在的能力をみる新タイプ入試は、2科4科と別物であると考えられたきた。
☆ところが、AIや脳科学、遺伝子工学などの進化によって、この旧思考力のモデルは、現実と不具合を生じてきた。脳神経を解剖しても、USBのようなメモリーチップは見当たらないのである。
☆実は、「記憶」というのは、外部にある知識や体験を内部に引き込む媒介項だったのである。そして、この媒介というインデックスを、首都圏模試センターは「思考スキル」としている。
☆だから、記憶自体は、具体的な内容をいうのではない。そのような具体的な内容は、外にある。それを取り込む仕組みが記憶なのである。頻繁に取り込むものは、すぐに想起できるが、頻繁に取り込まないものは、外のどこにあったのか、結び付けられない。
☆記憶といのは、アリストテレスの時代から、記憶術と言われ、思考スキルを意味していたが、近代にはいって、機械モデルになってから、旧思考力のモデルが活用されるようになってしまった。ただ、実際には脳をはみ出て記憶の出し入れが行われてきたから、実践では何も困らないはずなのだが、理論段階で、その脳をはみ出て存在する記憶のうち、定型化されたもの以外は切り捨てられたり、脳内で起こっている創造的思考や批判的思考、数学的思考の稼働を停止させられたりしてきた。
☆それが、子どもの潜在的能力の成長を妨げてきたのである。
☆今後は、【新思考力のモデル図】のように、思考スキルとしての記憶媒介項が、知識や体験を内部に引き込みながらデザインしたり編集したりしていくことを思考力だと再定義していけば、知識がまずなければ思考は成り立たないといって、結果的に思考を切り捨てることになることはないであろう。
☆知識を動員したり新知識を創出する思考は、記憶という思考スキルが媒介するから、この関係総体が思考力なのであり、知識と思考を分断することは恐ろしいことなのだということになる。
☆かくして、記憶は知識ではなく関係なのである。そして、この関係こそ思考スキルである。
☆シンプルにモデルを置き換えると、次のような図になる。閉鎖系の思考力から開放系の思考力へ。思考力の再定義=パラダイム転換が起こっていることを、首都圏模試センターが検証することになるだろう。
☆こうしてみると、閃くときは、シャワーを浴びている時とか、対話している時とか、散歩している時とか、旅をしている時とか言われるのも了解できるのではないか。
☆それから、タイトルや図を見て了解できるように、新思考力には、U理論や創発型スクライビングの実践、9Principlesも関連している。そのことはいずれ書くことにして、今回のシリーズの書き込みはいったんここで終了することにする。
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