2019年中学入試の新フレーム(46) 私立学校も経営組織力の時代へ
☆異動の話というのは、満期定年退職という話もあるが、次のような事態が紐づいているからということもある。つまり、今年、私立中高一貫校及び公立中高一貫校において幾つかの学校が開校するし、共学化の動きもあるし、新コース設置ということもある、もちろん入試日変更などの入試改革もある。
☆少子化が激化する2018年なのに、なぜ新規開校なのか?それは、定員割れを起こしている学校が立て直そうとするとき、新しい学びを立ち上げる能力がなく、組織として動けない学校が存在するからである。
☆どういうことかというと、新規開校の場合、それだけでインパクトを与えやすいし、高付加価値を生み出すカリキュラムを実践するところからスタートできるし、能力の高い教師陣を揃えることができる。なにより、新しい手法の経営組織力で立ち臨むことができる。
☆三田国際がそうであるように、グローバル高大接続準備教育をベースとする21世紀型教育を推進する教育と組織が合理的でパワフルになる。
☆既存の組織を改革し、なおかつ新しいカリキュラムに変更したリ、大学合格実績を急激にあげるというのは、なかなか難しい。余程強いリーダーシップがない限り、改革という声を聞いただけで、反発したり、無視したりする教師が現れるから、経営組織力が改まる由もない。
☆なんとかしなくてはと手をこまねいているうちに、新しいカリキュラムで新しい経営組織力のある学校が現れると受験生はそこに引き付けられる。したがって、少子化激化は、定員割れの学校に追い打ちをかける。
☆それゆえ、どこの学校も、なんらかの改革を行うわけだから、私立中高一貫教育の全体の教育の質はあがる。がしかし、それがゆえに、教育の質をアップデートするだけでは生徒は集まらないというジレンマというか現実的には顕著な格差が広がる。
☆強い経営組織力が必要なのだ。少子化の影響がないときは、良質の教育を行っていれば、生徒は集まった。しかし、少子化が激化するとそれだけでは生徒は集まらない。
☆それゆえ、良質の教育を行っているのに生徒が集まらない学校は、世間が、つまり市場が本質を軽視しているからだと批判する。大学合格実績で学校を選択するとは本質を見ていないとも言う。
☆しかし、市場は、生活ということが基盤である。生活の本質はサバイバルということである。霞を食ってサバイブできるなら、質がよければそれでよいが、生きるということは、最小限の武器の獲得で大きな成果を出す創意工夫である。コスパを考えるということは基礎知識である。
☆それを提供できなければ市場は反応しない。
☆ただし、市場は成長するものである。もはやドメスティックな市場では、市場そのものが危ういわけだから、そんな市場そのものに人は寄り付かない。グローバルな時代の精神を読み込んでいる市場があるならば、人はそちらにシフトする。
☆だから、経営組織力というのは、そのグローバルな時代や世界を前提としてあるいはネットワークを組みながら動ける経営組織でなけらばならない。リーダーの資質も上から命令しているだけでは務まらない。
☆仮にその時代に対応できるカリキュラムをつくって運営していても、それがほぼほぼ外注で、その組織のメンバーである教師が、自分の中に世界や時代のダイナミックな変化(世界コード)を確信し、自分なりに興味をもって探究心旺盛になるモチベーション(思考コード)がないまま、行っていたとしたら、それは形だけ動いているから、インパクトが弱いし、高付加価値を生み出せない。
☆新しい経営組織力とは、ソフトパワーそのものを自分たちで生み出せる創意工夫ができる組織を創ることである。もちろん、それには産官学総動員ネットワークを結ぶ力も必要だ。もちろん、悪用してはならない。
☆PBL型授業を実施する教員研修をやるというのは、手法を学ぶだけではなく、このような人材を形成する学内プラットフォームをつくるということだ。ICTを活用するとは、錯綜するプロジェクトチームの動きを有機的システム思考で合理的に動けるようにマネジメントするために活用するのである。
☆このような人材づくりやサポートができれば、ソフトパワーを創発する、そしてその結果成果を出せる経営組織が誕生する。
☆新規開校の場合、ここからスタートできるというのは実に有利である。既存組織をこのようなソフトパワー創発型の組織に変えようとすると、マイナーチェンジではそう簡単ではない。
☆そこで、校名変更、共学化、21世紀型教育改革という環境をダイナミックに変更することによって、学内の議論が活発になり、新陳代謝が生まれる。新しく教師を募集するときに、PBL、英語力、チームワーク力、ICT活用力などの技術持っている人材を引き入れることになるからだ。
☆この21世紀型教育の流れは、玉石混交かもしれないが、東大一点成果主義を突き崩す。その流れにとって、東大は、世界大学ランキングの1つに過ぎなくなるからだ。
☆グローバル高大接続準備教育は、当然世界大学ランキング100位以内を射程に入れるが、だからといって、海外大学のみをみているというのではない。世界大学ランキング1100位くらいまでに入っている日本の大学は、89校ある。
☆その中で、600校以下の大学で首都圏にある大学は、次の通り。
千葉大、順天堂大、慶應義塾大、東京農工大、東京理科大、早稲田大、横浜市立大、中央大、法政大、北里大、明治大、昭和大、上智大、東海大、東京海洋大、横浜国立大、千葉工業大、茨城大、神奈川大、工学院大、芝浦工業大、東京都市大、東京電機大、東洋大
☆1100位というのは、世界の大学のうち上位5%に位置する。研究、多様性、高度技術という点で、有利な条件で学ぶことができることを意味している。もちろん、受験生は、自分の目で確かめる必要があるが、世界標準でキャリアデザインを考えるようになると、東大一点成果主義という閉鎖的な高ストレスから生徒は解放されるし、その開放の意味は、日本の国力再興のためにもつながるのである。
☆要するに、教師も生徒も、心身とICTを「世界コード」と「思考コード」でセルマネジメントするアントレプレナーシップで躍動する人材を育成できる経営組織力=ティール組織力=有機的システム思考組織が誕生するというのが、2018年の新たな動きとなろう。まだ微細だが。
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