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2019年中学入試の新フレーム(61) 桐光学園 多様な切り口と奥行きの深い学びの拠点

☆桐光学園と言えば、東大から難関私大までたくさんの合格者を輩出する学校だとか、600もの圧巻の講座が開設されている学校だとか、グローバル教育に力をいれている学校とか、スポーツが強い学校とか、すぐに多角的なシーンが思い浮かぶ学校だろう。
 
☆しかし、なんといいても10年前から月2回ぐらい行っている「大学訪問授業」。各大学の有名教授やアーティストが講演し、生徒が質問して、直接対話するチャンスがある。
 
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☆そして、1年を終えるたびに、圧巻の一冊として講義録がまとめられ、公の場に出版物として並ぶのである。
 
☆新刊の「高校生と考える希望のための教科書」には、あの谷川俊太郎さんやノーベル化学賞受賞者の根岸英一さんも名前も連ねている。
 
☆どの見識者も、自分の学問領域とその領域がかかわっている最先端の事例や身近なケースに結びつけて語るから、中高生にとっては興味と関心、好奇心が立ち上がりやすい。
 
☆しかし、かなり学問的に高度であるから、これらの講義を聞いて、関心をもてる足場づくりが日ごろの授業の中で構築されている必要がある。
 
☆そして、その通りだからこそ大学進学実績も相当なボリュームがあるのである。しかしながらこのボリュームは、20世紀型教育によって生まれているわけではない。
 
☆同書で、水野和夫さんが「資本主義の終わり」を論じているが、その資本主義を支えていた労働力や技術を生み出してきた20世紀型教育も終わる。それゆえ、その延長上にある御三家神話も終わると。もっとも、最後のフレーズは私の持論だが、やはり桐光学園のような、新しい枠組みを求めている学校が、知の牽引校、あるいは知の創造校になるというのが、歴史的ダイナミズムであろう。
 
☆同書の巻頭言で、村上校長は次のように語っている。
 
「竹やぶ型」教育から「いが栗型」教育へ・・・・・・。皆が一斉に高く成長することだけを競う「竹やぶ型」と、目指す方向は360度違っても、それぞれが自由な方向へ伸びていくことを認める「いが栗型」のイメージ。
 
☆栗平という桐光学園のエリアをメタファーとして使ったスマートな表現。要するに20世紀型教育に引導を渡すということであろう。
 
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☆同書の中にリ・ウファンさんというアーティスのスピーチも掲載されている。私も大好きなアーティストの一人であるが、リ・ウファンさんは、そのスピーチの中で、こう語る。「芸術とは、究極的には『超える』ことです。もっと先、もっと別のものを求め、いまあるものを疑うことです。」と。
 
☆桐光学園のように、20世紀型教育を超える希望の学校がたくさん出現することを期待したい。

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