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2019年中学入試の新フレーム(69) 大妻グループが大きく変貌するときがやってきた。

☆昨日の「梅沢先生を囲む会」で、長谷良一先生にお会いした。先生は、品川女子学院の改革当時からお会いしている。今日の隆々たる品川女子学院の改革草創期に活躍されたお1人である。その後、いくつかの私立学校の改革のサポートをしつつ、改革のパラドクスの病理と奮闘されてきた。
 
☆そして、今年大妻に就任された新校長と共に再び入試広報部主任として力を発揮するという。おそらく新校長は、伝統を大切にされながらも革新的な学びを開く=未来を拓くという信念をお持ちの方のように聞き及んでいるので、改革のパラドクスは発症しないだろう。
 
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(写真は、同校サイトから)
 
☆つまり、長谷先生にとっては、力を大いに発揮する場があるだろうし、そもそも豊かな文化資本が蓄積されているのが大妻グループである。
 
☆新しい学びを導入するビジョンとそれを実践する新しい学びの空間も備わっている。また、ディプロマポリシーとして、UCLのファウンデーションに5人の推薦枠を有している。
 
☆今後は国内外の世界大学ランキング100位以内にも多くの生徒を輩出するだろう。
 
 
☆プラス評価の大妻で身についたこととして、OGはこんな点を挙げている。
 
・粘り強さ
・友達を大切にする
・リーダーシップ
・チャレンジ精神
・地道な努力
・メンタルの強さ
・広い学問
・時間やタスクのコントロール
・自立精神、自ら率先してやる
・上下関係
・自然と礼儀、敬語が身についた
 
☆要するに、学力以外にも非認知的能力も身に着くということを語っているのだ。これは、2020年大学入試改革でも大事にされている点で、eポートフォリオなどの動きにすぐに対応できることを示唆している。
 
☆そして、弱みを隠さず、共有できる組織は最強なのであるが、その点も公開している。
 
・男性の視点
・男性との距離感
・男性の考え方
・多様な価値観に触れる
・学外のネットワーク、人脈
・ダイバーシティ
 
☆これは、大妻の問題というより、世間を騒がせている、日本の学歴エリートが抱えている男性中心主義社会の問題である。世界からは、経済大国として近代化が進んだが、ジェンダーの問題はクリアできていないと痛烈に批判されている部分でもある。
 
☆つまり、大妻は、自らの弱み(実は強みという考え方もできるのだが)をクリアすることによって、日本社会の未来をも拓くのである。そして、そのためには、やはり多様性をどう学びに統合するかではあるが、この問題解決能力の優れているのが長谷先生である。
 
☆かくして、大妻の中学入試におけるポジショニングは上位にシフトしてくるだろう。そして、それは大妻グループに波及する。
 
☆というのも、今まで大妻グループで、新しい学びの最前線を突っ走っていたのは、大妻中野で、大妻自身は伝統におちついていた。しかし、大妻自身が伝統と革新を統合させる戦略にでるとなると、大妻中野は独壇場ではなくなる。ここに切磋琢磨が巻き起こるから、大妻グループ全体に風が吹くことになるだろう。
 
☆しかも、大妻中野自体、宮沢校長が任期満了で校長を退き、次世代に改革精神をエンパワーする段取りができた。善き文化資本が継承される組織を創るのは実は難しい。校長が変われば、学校も変わる。良くなる場合もあれば、悪くなる場合もあるのは、多くの事例をみなさんは既に知っているだろう。
 
☆そこで、大妻中野は、宮沢先生を、学校改革推進顧問として、引き続き改革精神を持続可能にする組織作りのステージに進むこととなった。
 
☆改革が成功するかどうかは、その戦略アイデアと人材育成のシステムにある。その両者が揃ったとき、はじめて成功は持続可能になるだろう。
 
☆さて、共立女子グループはどう対応するのだろう。この歴史的女子校の両雄は切磋琢磨することは必至だから、しばらく、鴎友学園女子や洗足学園の勢いに押されていたのを、再び押し返す勢いになるかもしれない。
 
☆男性中心主義の日本社会の影の部分を取り除く女子校の新しい未来のリーダーとして、伝統と革新を統合する両グループが、再び力を見せるときがきたのではないか。
 
☆両グループの共通点は、たんに中学市場を形成してきた学校ということよりも、近代日本社会の女性教育を担ってきたという歴史の重みがあるということ。今、その女性教育の新地平が、日本社会のみならず世界から期待されているということを考えれば、長谷先生は重要なポジショニングにいるのではあるまいか。未来から見つめると、そういうことだと思う。
 

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