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2019年中学入試の新フレーム(78) 大阪のSGTとの対話

☆2020年の大学入試改革は、ひとり日本だけの話ではない。世界同時的な教育イノベーションに呼応している動きであるのは周知の事実であろう。グローバルな流れなのであるが、日本の教育システムは、今のところ、IBやAレベルテスト、AP、21世紀型スキル、BC州のグローバル市民教育など、世界に群雄割拠しいている列に並ぶことができない。

 

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☆昨夜、大阪で、水都国際の熊谷先生、太田先生、灘の井上先生と対話しながらというか、耳を傾けていて、なるほどと思ったことがある。
 
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☆本当に、先生方は実によくリサーチされていて、世界の教育のコンパラティブスタディの高い見識があふれでていた。
 
☆たしかに、最近の日本の教育から演劇教育は消滅している。世界の学校では、シアターがあるところが多く、ドラマエデュケーションは、大切にされている。表現力を育成する中で、人間とは何かを見出していく根源的な問いを生み出す機会があるからだろう。
 
☆かつて、開成の橋本先生とは、よく読書、演劇、映画などと生徒のかかわりの話を聞いたし、今でも海城のドラマ・エデュケーションはかなり注目されているが、そういえば、それ以外ではあまり聞かない。
 
☆先生方と私とでは、娘と同じくらい年が違うから、たしかに福田恒存世代の私の感覚とは違う。僕自身の内面において、ドラマは当たり前だったから、それがなくなっていることに意外と気づかなった。部活などでまだあるのだから、カリキュラムの中でなくなるということは考えてもみなかった。
 
☆多様な表現力=レトリックといういのは、リベラルアーツの大切な要素であるわけだから、麻布の前校長氷上先生が新教養講座を創らざるを得ないといって、在任中に学内中で議論を巻き起こして、土曜日に設置することに尽力したのは、リベラルアーツの消滅の危機感からだったのかと改めて思う。
 
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☆3人の先生との対話の後、久しぶりに再会した太田先生の話に耳を傾けたが、やはり数学的思考の根本原理である「置き換え」スキルを自在に活用して、一見複雑に見える群雄割拠する多様な教育システムを見事につないでいき、シンプルなシステムに変換していく話は、いつ聞いても美しい。
 
☆数学的思考は、置き換えの美学である。置き換えることによって、シンプルになっていく。ピカソやジョブスの引き算の美学というやつだが、太田先生は相変わらず、いろいろなプログラムに遭遇した時に、その置き換えの美学を追究しているということだ。
 
☆結局、スーパーグローバルティーチャーとは、あらゆる手法の根源に位置する普遍的発想=数学的思考力×多様な表現力を有しているかどうかだなと再確認した。
 
☆手法はいっぱい知っていて、それを巧みに活用するというパッチワークできる教師もたくさんいるのだけれど、この普遍的発想がない場合、結局モノという物象のショーケースを見せられるだけで、対話停止、思考停止になってしまう。
 
☆生徒一人一人が未来で自分の価値を高めるには、この普遍的発想が身につくことが大切だろう。
 
☆日本の教育システムが、世界の多様なシステムの仲間入りができないのは、この普遍的発想がなかったからだと思う。明治150年たった今も、東大初綜理加藤弘之とその一派法律進化論者たちが、普遍的原理は蒙昧だといって、切り捨ててから、それは連綿と続いている。
 
☆戦後教育基本法で、東大総長南原繁(氷上先生の祖父)をはじめとする新渡戸稲造、内村鑑三の弟子たちが、普遍的発想を回復したかのように見えたが、すぐに改正の運動がおこり、第一次安倍政権のときに、ついに改正されてしまった。結局150年ずっと普遍発想は日本の教育システムでは取り除かれてきたのだ。
 
☆戦後教育基本法が存在している間は、システムはなくても、心ある教師が情熱をもって行ってきた。しかし、持続可能性にするためには、やはりシステムは必要だった。
 
☆戦後教育基本法改正直後、早稲田のプロテスタント教会の集会場で、麻布の前校長氷上先生と共立女子の前校長渡辺先生と意識が飛ぶほど飲んだのを途切れ途切れに記憶している。
 
☆まさか、再び大阪で、普遍的発想を教育の根源に見据え教育実践をしているSGTに出会えるとは!日本の未来はそう見捨てたものではない。ここ数日大阪に滞在していて、何かが起きていると感じていたが、どうやら大阪から教育は大きく変わるのかもしれない。

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