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【思考力】首都圏模試センターの教務陣の挑戦①体験と意識&視点

☆首都圏模試センターの教務陣のミーティングに参加。ちょうど4月15日実施の6年の統一合判のテストの結果データについてリフレクションしているところだった。平均点、標準偏差、正答率などが妥当だったか検証することと思考コードと思考スキルと正答率を対照することによって、受験生の強み弱みを分析し、今後の解答解説に、どんなメッセージを発信していくかについて議論をしていた。
 
 
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(仮説・検証をデータに基づいて行っていく時、4科目それぞれのリーダーが、越境知を駆使して議論をしていくチームワークが、首都圏模試センターの教務陣の特徴。)
 
 
 
☆統一合判で、幅広い偏差値レンジの学校合格可能性を判定するにはいかにしたら可能か?というのも1つのテーマゆえ、平均点や標準偏差は大事なデータであるが、思考コードでB2B3思考をどれくらいの割合で出題すると信頼性が高くなるのかという検証をしているとも言える。
 
☆メンバーの話を聞いていると、算数と他の3教科との大きな違いが、常に話題になっているのが面白かった。それは「体験」の質の違いである。
 
☆算数は、ある程度問題を解く「体験」というのが欠かせない。それ以外に日常の体験を通して思考するのが難しい。もちろん、国際バカロレア(IB)やイギリスのAレベルテストのように、常に体験と結びつける問題設定をしっていれば、日常の生活体験をある程度盛り込むことができる。
 
☆しかし、現状入試問題はそうなっていないから、それを模擬試験で実現することは難しい。そこで、疑似的に体験を増やさなければならない。それが問題を解くというトレーニング。
 
☆一方、国語や社会、理科は、もちろん相対的には差異があるのだが、知識を想起するにも、論理的に思考するにも日常的な体験、読書体験、時事問題の体験、実験という体験などを動員できる。
 
☆もちろん、それがかえって先入観や誤謬に導く場合もある。しかし、多くの場合、その体験知は、推理のデータになるのである。
 
☆しかし、同じような生活をしていても、正答率は100%などということはない。低いものもあるし、高いものもあるが、そのような反応の違いがでるのはなぜだろう。
 
☆教務メンバーは、そこに対する仮説を立て、検証していくわけだが、それによって、生徒の多くが、最適の問題解決の方法を身に着けられるかもしれないのだ。
 
☆そこで、取り組んでいるのが、体験をするときにどのような意識、あるいは視点をもって取り組むのか、あるいはどのような意識や視点を新たに発見するのかという課題である。
 
☆この意識や視点を思考スキルとして、どのようなスキルが各教科あるのか仮説と検証のリフレクションをしているのである。
 
☆2年間かけて開発してきて、プロトタイプのループを回してきた。それゆえ、今年4月からいよいよ解答解説に、思考コードと思考スキルを明示するところまで到達できた。
 
☆明示した以上は、さらに正答率という反応率と照らしあわあせて検証していく必要がある。教務メンバーは、テスト作成の際に仮説を立て、終了後にリフレクションするというループを1年間続けているのである。
 
☆それにしても、具体的な体験が仮に違ったとしても、その体験をどのような意識や視点で分析するのかという方法論があるという点で、教務メンバーのビジョンは一致している。
 
☆ただ、その意識や視点がいかなるものかは、教科によって、まだまだ違う。これらを統合するようなメタ視点は果たしてあるのか?現状はまだそれはわからない。それはもう少し仮説と検証のループが必要だろう。

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