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2019年中学入試の新フレーム(108) 成城学園101年 日々新たな気づきが好奇心を生成し続けている。

☆101年目を迎えている成城学園。日本の教育の在り方を決定づけた精神と知性と感性が脈々と生き続けている。そのブランド力は、いわゆる御三家ブランドとは一線を画する別格な何かがある。それはいったい何であるか?首都圏模試センターの山下一氏(取締役・統括マネージャー)が、同校で講師を務めるというので、私もついていった。
 
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☆成城学園創立者である澤柳政太郎の魂と教育に対するアカデミックな知見を継承している「成城学園教育研究所」が設立されているが、その研究助成として<成城学園における「教育指標」の構築の研究>のプロジェクトが立ち上がっている。
 
☆山下氏は、そのプロジェクトに呼ばれたようだ。時代の大きな変化と共に、101年の歴史のな中で、暗黙知化してきた「教育指標」という基準を、改めて可視化することが目的だと思うが、その一環として山下氏が中心となって開発している「思考コード」について事例研究を行おうという意図があったのだと思う。
 
☆今回は成城学園中学校高等学校入試広報部主任の青柳圭子先生が中心となって企画した。中学入試関係者のネットワークの中に当然山下氏もいたからだろう。青柳先生は「教育目標をデザインするには、意図的・意識的・計画的に教育実践に繋げるための「基準」が大切です。教職員スタッフの思いや情熱を、教育活動の土台とするために共有する言葉を明らかにできたらと思っています」と山下氏に声をかけた聞き及ぶ。
 
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☆成城学園駅から学園に向かう道のりは、閑静な住宅街がつづき、小さな緑の空間が突如現れる。キャンパスも校舎も学びの空間が、好奇心を生み出し、オープンマインドになれる安心感を広げる。
 
☆そこに近代日本の支柱の1つ全人教育のシステムが埋め込まれている。受験生や保護者が、一度訪れれば、その多くは、ここで学びたいと思うだろう。
 
☆そのようなブランド力があるにもかかわらず、このような研究プロジェクトを立ち上げるとは、不可思議と言えないこともない。一般の学校だと、教科の準備が十分にできないほど多様な仕事で忙しくて、とてもプロジェクトに手は回らないということになるはずだ。
 
☆ところが、このプロジェクトのメンバーは、初等学校から大学まで、多様な方々で構成されている。やはり、何が他とは違うのだ。
 
☆そんなことを思いながら、山下氏のスピーチと先生方の反応を眺めていたら、あっ、なるほどと気づいたことがあった。
 
☆それは、実にアカデミックな雰囲気がそこに広がっていたことだ。このような勉強会を行うと、新しい内容に対し、防衛機制が働いて、斜に構えたり、受け入れられないという雰囲気が立ちこめたりしがちである。
 
☆しかし、実に柔らかく、思考コードに対する評価をするのではなく、ポジティブな雰囲気なのだ。もし思考コードを使うとしたら、どんな意義や効果が生まれてくるのか?もし思考コードを共有するとしたらどんなプロセスをデザインしたらよいのか?もし子どもたちと活用するならもっとこんな使い方があるのではないかなどクリティカルシンキングやクリエイティブシンキングが広がっている雰囲気だった。
 
☆そして、そのような自問自答をされていたことが明らかになったのは、先生方が質問したときだった。問いの質が、明らかに一般とは違っていたのだ。いろいろな事例や外部情報とからめながら、思考コードのような基準を作成したり活用したりする意義をその場で引き出していくような問いが多かった。たいていこのような会で投げられる問いは、スピーチ内容を理解し直す問いがほとんど。
 
☆しかし、そこにこだわらず、たとえば、子どもたちと使ったらというシチュエーションを設定してどんな意義があるのか対話できる問いを創っていたのである。国際バカロレアや世界で21世紀型スキルを活用している教師は、このような問いをメタ認知型の問いと呼んでいる。
 
☆成城学園の先生方は事実確認の対話で終わらずにメタ認知を発動する対話を行っているのである。だから、何事も、一瞬一瞬気づきが生まれ、好奇心に目を輝かすことができるのである。その雰囲気が児童や生徒にも共有されているのだろう。
 
☆好奇心、開放的精神、なぜだろうという視点が、日々満ちている。今更ながらではあるが、澤柳政太郎の著作を読みたくなった。

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