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2019年中学入試の新フレーム(112) 桐朋女子 第6代校長生江義男先生の精神が脈々と継承。(1)

☆本日5月28日(月)、桐朋女子中学校・高等学校(以降「桐朋女子」)は、教育関係者説明会を開催した。1986年以降の中学入試の大衆化の波に、飲み込まれまいと、真の教育を保守し続けてきた。多くの私学が、その波に便乗したり、飲み込まれたりした中で、戦後民主主義教育の高い志を貫き続けている数少ない私学の1つである。
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☆説明会は、終始「対話」や「言葉」を大切にする内容が語られた。ただ大切にするだけではなく、その実践的プログラムが、きちんと積み上げられている。
☆Aブロック(中1・2)では「論理エンジン」、Bブロック(中3・高1)では、「言語技術教育」、Cブロック(高2・高3)では、「DLP(デュアル・ランゲージ・プログラム)」とループになって成長していくプログラムである。
☆しかも、「言語技術」は、同校のOG三森ゆかり氏(つくば言語技術教育研究所)と連携しているのであり、同校の「対話」や「言葉」を大切にする精神は、脈々と受け継がれ、外部の研究所などでも影響を与えているというのだから、グッとくる何かがある。
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☆この「対話」や「言葉」を大切にする精神は、教育刷新委員として、戦後教育基本法成立に奔走した務台理作(桐朋学園初代理事長・校長)の影響が大きいと思っていた。務台理作は、京都大学在学中、西田幾多郎の弟子だったが、西田門下でありながら、京都学派でも西田左派とも一線を画した独自の哲学を研究していた。
☆おそらく、ナチの軍門に一時的にくだったハイデガーのようになりたくなかったのであろう。留学中は、迫害されたハイデガーの師フッサールに学んでいたということもあったのかもしれない。
☆いずれにしても、務台理策の教育は、対話や言葉をとても大切にする哲学である。そして、戦後教育基本法には、その精神も流れているわけだ。だから、桐朋女子も務台の影響を色濃く受けていると思っていた。実際、「対話」と「言葉」を大切にしているのだから。
☆しかし、校舎を案内してくださった先生によると、第6代校長生江義男先生の影響が絶大であるという。なるほど、生江先生も、務台先生も、東京師範学校や東京文理科大学で交差しているはずだから、通じ合うものもあったのだろう。
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☆だから、ズレてはいなかったのだろうが、教師人生を貫徹された生江先生の影響のほうが実際的に大きかったのだと思う。
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(生江義男先生の創ったタイルがはめ込めらている卒業生の記念のタイル制作オブジェの前で。庄司先生と梅沢先生とバッタリ会った。桐朋女子の教育が今再び教育界の重鎮に注目されているということの証だろう。)
☆それにしても、生江先生は、桐朋教育研究所の初代所長でもあり、桐朋の教育のエッセンスをオープンにして外に影響を与えていたし、すでに帰国生研究も行い、アジア・アフリカ視察にもいき、当時からグローバル教育を広めていたようだ。そして、あの小澤征爾を輩出した子供のための音楽教室を桐朋学園に設置し、芸術教育も実践していた。今のSTEAMも先取りしていた。

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