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2019年中学入試の新フレーム(113) 桐朋女子 第6代校長生江義男先生の精神が脈々と継承。(2)

☆桐朋女子の説明会で、いわゆる一般的な通信簿はつけないという話がでたが、これも生江義男先生のときから実践されていて、今も続いているのである。先生の故郷である石巻のサイト(石巻Wiki)で、先生の言葉がこう引用されている。
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教師の「暖かい眼」は、児童・生徒にむけられるだけではなく、先輩、同僚、後輩、そして、広く社会一般にも及ぼすことが必要である、と言っている。
また、現在の教育界においては、教師と教師、教師と生徒、教師と父母との関係に“ヒューマン・リレーション”はみられない。いろいろな原因が考えられるがなによりも「対話の精神」に欠けていることが、その要因である、とも述べている。
そして、かつて“スチューデント・パワー”が教育界を大混乱におとしいれた一因について生江氏は、「教育界も社会も、大学を“終着駅”としていること、みずから選び、学ぼうとする意欲が、現在の教育制度によって阻止されていること、師弟関係が“評価点”という抽象化された数字を媒体としてきたことをあげている。
こうした課題を解決するためには、過去のものの“選択”と未来への“創造”でなければならないとし、その方法は“言霊”の復活をはかり、“対話”の精神を尊重することと述べている。
☆本当に熱い。そして子どもたちにむけた眼差しがあたたかい。この精神が、今も桐朋女子の先生方に継承されていることはその言動から明らかである。
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☆多様な入試への挑戦も、その子どもたちに対するあたたかい眼差しがゆえであろう。特におもしろいのは、口頭試問における生徒と教師の対話である。
☆同校では、通知簿はつけない。それは冷たい数字で君はここまでだと宣告するのではなく、生徒と教師、生徒と保護者、保護者と教師と対話を繰り返していくことによって生徒自身のモチベーションに火をつけ、好奇心を豊かにしていく、今でいうエンパワメントエバリュエーションを実践しているのである。
☆先生方の説明から推理するに、実はこの対話の過程がそのまま、口頭試問でも行われているのだと思う。桐朋女子の教育は中学入試から始まっていると言われるゆえんであろう。
☆そして、これは、受験生にとって、大学合格が終着駅ではなく、未来への扉を拓く善き機会なのである。今そして未来に立ちはだかる「課題を解決するためには、過去のものの“選択”と未来への“創造”でなければならない。」そして、「その方法は“言霊”の復活をはかり、“対話”の精神を尊重すること」なのである。時代を見据えた普遍的な精神が桐朋女子を貫いている。
☆もちろん、言葉は生き物であり、時として魔物でもある。コミットメントというよきこだわりが、固執と見分けがつかなくなることもある。言葉の両義性を吟味するのも継承者の大切な使命であろう。

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