2019年中学入試の新フレーム(84) 21世紀型教育の本質の生成持続可能性 ディスカッションの在り方にヒント
☆昨日、平方先生と対話した。平方先生は、吉田先生そして長塚先生と、私立学校の代表として文科省の一連の大学入試改革についてのワーキンググループに参加している。私学の利益ではなく、未来の子どもたちにとって、正当性・信頼性・妥当性のある改革になるかどうかモニタリングし、新提言もしている。
※平方邦行先生:21世紀型教育機構副理事長・一般財団法人東京私立中学高等学校協会副会長・工学院大学附属中学校高等学校校長。吉田晋先生:21世紀型教育機構理事長・日本私立中学高等学校連合会会長・富士見丘学園理事長・校長。長塚篤夫先生:一般財団法人東京私立中学高等学校協会副会長・順天校長。
(左:平方邦行校長。右:上田信行教授。Growth Mindset Schoolにするにはいかにして可能かについて対話していたときのシーン。)
☆世界を経めぐり、日本を俯瞰し、東京の私学と協働し、ご自身が経営している学校の教育のアップデートを実践し、同士とともに21世紀型教育機構を創っている。
☆どれほど目まぐるしく忙しいのかは、想像を絶するが、Growth Mindset、Creativity、Globalをキーコンセプトに、それを授業の中でどのように広げ深めていくかに焦点をあてて、それが、工学院からはじまり、21世紀型教育機構、東京、日本、世界へと渦を大きく展開していく手法をとっている。小さく始めて大きく育てる手法だから、軸のブレがない。
☆もっとも、渦に巻き込まれている方々は、そのシンプルなキーコンセプトを理解していないと、平方先生の周りがカオスに見えてしまう。そのカオスをワクワクすると感じるか不安と感じるかは、結局それぞれの度量ということなのではあるが。
☆不安に思う方々は、組織というのは、ピラミッドのようにどっしり構えていて欲しいと思うのだろうが、それはお墓の象徴であり、組織の終焉を意味している。組織は生き物である。常に変容しているのである。その変容のスピード感に対する心地よさはこれまた人によって違う。心地よいと思えるメンバーだけで組織が成り立てばよいのだが、そうはいかない。
☆それゆえ、組織において葛藤はつきものである。もっとも、それを葛藤とみるのか、変容への過程とみるのかは、これまた人によって違う。多様性の渦の中で、人は生きている。
☆そして、これは、子どもたちにとっての未来の縮図でもあろう。だからこそ、その多様性の渦の中で、不安に身を縮め、不平不満を溜め込むのか、ワクワクしてイノベーションや創造に挑戦するのか、人生の選択を考え行動するキャリアデザインが重要なのである。それゆえ、自己肯定感とかGrowth Mindsetを大事にし、できれば挑戦の人生を自己決定できる道を歩んで欲しいと平方先生は願っている。
☆もちろん、人の価値選択は私事の自己決定である。どちらを選ぼうが自由ではあるが、教育者である限り、挑戦者の道を歩んで欲しいし、かりに今そうでなくても、今後「変容」してほしいと平方先生は考えているという。
☆そして、教育実践者である以上、「自己変容」ができるPBL授業のアップデート、そしてそれに基づいたクリエイティブキャリアデザインの環境をより充実していきたいと。
☆しかし、それには、ディスカッションのアップテートをする必要があると。ベイトソンやハーバーマス=コールバーグや最近の河本英夫教授のオートポイエーシス的な高次のディスカッションができる環境はいかにして可能なのだろうかと。
☆学習1→学習2→学習3とか、抑圧的コミュニケーション→双方向的コミュニケーション→創造的コミュニケーションとか、諦念→妥協→創造とか、ディスカッションの次元については諸説ありであるが、いずれにしても、それと思考や能力の発達は何らかの関係があるのではないかという。
☆ディスカッションは、ワークショップであれ、PBLであれ、C1英語であれ、ブレスト会議であれ、大切な対話の機会である。21世紀型教育の共通システムを同士で共有しているが、次の段階は、この教育の随所で、教師も生徒も行っているディスカッションのアップデートをいかに創るのか、そのイノベーションだという。
☆というのも、子どもと共有する最近接発達領域は、高次の清浄な空気の流れるコミュニケーションの場でしか現れ出でないという信念を平方先生はもっているからである。その領域こそ、子どもの潜在的才能の芽が成長していく土壌となるのであるからと。
☆その清浄な風が流れる土壌を、生徒といっしょに発見して共有するには、結局優れたファシリテーターが必要であるが、21世紀型教育機構は、学校を超えてSGTとしてのファシリテーターがたくさん育っている。いよいよ彼らSGTの教育出動の時がやってきたのだと平方先生は目を細めてつぶやいた。
*SGT:スーパーグローバルティーチャー
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