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2019年中学入試の新フレーム(94) 三田国際がeポートフォリオで成功するワケ。

☆朝日新聞(2018年5月12日)の記事で三田国際のICT教育が取り上げられている。今年の高1から多くの学校で取り組み始めたeポートフォリオの代表事例校としてである。
 
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☆三田国際が秀逸なのは、もともとeポートフォリオは、2020年大学入試改革の大きな柱としてはじまり、入試時の評価の1つとして学習履歴や成長の軌跡を参照するというものであるが、にもかかわらず入試対策の一環として行うもではないというところだ。
 
☆田中潤教頭によれば、自己内省によって成長へのスプリングボードを発見する記録である。しかも、この記録は、実は事実を紡ぐものではないのである。もちろん虚構ではないが、自分の成長物語として書くネバ―エンディングストーリーだというのである。
 
☆事実のデータ蓄積だとしてら、eポートフォリオは、パノプティコンを超えてシノプティコンと化し、他者から監視されているだけではなく、自ら自らを監視するという自由がフリーズするダブルバインドに陥る。
 
☆それをネバ―エンディングストーリーにすることによって、他者を観客とし、自己を役者にし、そこに教養を生み出すことになる。
 
☆その他者をも巻き込む教養があふれるeポートフォリオができたとしたら、生徒は大きく自己変容し続けるだろう。
 
☆しかし、たいがいは、過去の事実にひきづられ、シノプティコンによるダブルバインドから抜け出せずに、自己否定感が広まるという(大学入試)改革のパラドクスが起こるだろう。
 
☆三田国際のようにeポートフォリオが自己肯定感を豊かにしていくにはいかにしたら可能か?そのヒントが三田国際の3次元のICT教育にあるのはいうまでもない。
 
☆oneself → one to one → all to allという3つの次元を通過するICT教育のデザインがなされているかどうかということなのである。つまりICT教育3.0を実施しているかどうかが重要である。
 
☆しかしながら、これだけでもまだ足りない。all to allにおけるディスカッションのレベルがやはり3レベルまでいっているかどうかである。
 
☆かくして、三田国際のようにeポートフォリオが生徒のネバ―エンディングストーリーを編集する場であるには、ICT教育3.0×ディスカッション3.0であるのが条件なのである。
 
☆たいていは、タブレットが入っていても、アクティブラーニングを行っていても、ICT教育1.0×ディスカッション1.0であるから、eポートフォリオは、シノプティコン装置と化する。
 
☆いやそれ以前に、ICT不要、アクティブラーニング不要という学校もあるだろう。その学校がパノプティコン装置になっているのだが、パノプティコンだと、生徒が監視の目をするりと回避して自由を維持できる可能性が残されている。
 
☆日本の教育が改革すれでも、いつもどうもうまくいかないのは、このような教育社会学の成果を取り入れないからである。
 
☆三田国際の田中潤教頭は、社会学と組織論、ビジネスマネジメント論、心理学などをきちんとリサーチして応用しながら最適な学習理論を組み立て、それを実践に移している唯一無二のスーパーカリキュラムマネージメントの実践者である。
 
☆教育も科学の時代である。理論と実践のケミストリーを生み出せる錬金術リーダーが必要な時代である。

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