2019年中学入試の新フレーム(95) 魅力的な説明会・保護者会そして授業を分析するコードがある。
☆読んでみると、かつての言語学系の物語分析をコンピュータが証明した形になっていて、新しいものは何もないように見えるが、アナログで分析しているときは、どうしてもコンテンツにひきづられるものだが、それを非情にも切り捨てて、ストラクチャー分析になっているので、わかりやすくなっている。
☆なるほど、コンピュータが小説を書いてしまう時代だ、株価ばかりかベストセラーも予想してしまう時代になってしまった。と途方に暮れるのではなく、逆手に取れば、魅力的な説明会・保護者会・授業のプロットラインをデザインしやすくなるではないか^^)/♪。
☆というわけで、同書を参考に8つのパターンを整理してみた。多くの書評では7つのパターンと言われているのだが、同書は8つ目もあるのではいかと指摘しているので、そこは勝手に追加しておいた。
☆さすがにコンピュータが計算することだから、上り坂の感情と下り坂の感情がペアになっていて、その組み合わせによって8つのパターンを創り出している。わざわざコンピュータに計算させなくてもと言われるかもしれないが、こうやってパターンコードにしておくと、ベストセラーの本がどのコードに偏るかがわかる。
☆たとえば、ドラえもん。のび太くんが宿題できない困ったよーと下り坂曲線になっていると、ドラえもんが、しかたがないなあとポケットから魔法の道具を出して、解決。のび太くんは、やったーと感情曲線は上り坂。がしかし、自分の力でないことがバレて、やっぱ失敗だったと感情曲線は下り坂。という逆Nカーブを描く。英雄は必ずしもハッピーエンドで終わらないタイプの終わり方。なぜかこれがウケる。カリスマを必要としない時代なのか。
☆これがベストセラーコードなのである。冒険や恋愛の感情曲線の紆余曲折の果ては、やはりM型曲線がベストセラーらしい。
☆すなわち、小説や物語は、複雑なディストピア型感情曲線がプロットである場合がベストセラーになるようだ。
☆ところが、児童文学や学校におけるトークは、ユートピアでなければならない。というのは、人間というのは、日常生活はディストピアであるよりユートピアのほうがハッピーだ。
☆しかし、実際にはそんなに幸せを感じて生きているわけでもないし、不幸を背負っていいきているわけでもない。生きるということは、実はそれだけでは幸せでも不幸でもないのかもしれない。
☆幸せか不幸かは、物語の紡ぎ方次第ということかもしれない。映画を見にいける余裕のある人は、ディストピアにはいない。それゆえディストピアは怖いもの見たさで興味津々となるのだろう。
☆しかし、だからといってユートピアにいるわけでもない。それゆえ、親としては、教師としては、子どもたちに今より少しでも幸せになってほしいと願い、ユートピアとしての学校を選択するだろう。
☆人間は、シェークスピアではないが、このアンビバレンツから逃れられないのかもしれない。このことから目をそらさずに学ぶことが本来重要なのであろう。
☆しかし、エンターテイメントとしては、ディストピアが人気があり、学校や学校化社会は、ユートピアが人気がでるのである。
☆もちろん、世界の痛みを引き受けなんとかしようという根源的な教育を求める真摯な保護者もいる。そのような学校は、そこはそこでファン層をつかめば問題はないが、高人気の空間とはならないのが、世の常である。
☆いずれにしても、人気があるなしは、プロットラインコードで分析することはある程度可能だろう。
☆そういう意味では、多くのメディアは、ディストピアを取り上げることが多い。批判的精神が少し偏りがちだ。売れなければやっていけないからだろう。正当な批判的な精神であれば、ユートピアでもディストピアでもなく中立に両方を公平に取り扱うだろう。
☆一方、受験雑誌は、人気校の情報を常に発信している。それゆえ、そこで描かれる学校はユートピアである。ただ、最近大学合格実績が高ければユートピアであるかというと、それは崩れてきている。むしろ、そこに向かって受験勉強をするのは、どうもディストピア的な雰囲気で描かれる風潮がでてきた。
☆そこも引き受けながら、そうはいっても、最終的にはW型の中学入試の旅へ導く首都圏模試センターの取締役・教育情報部長北一成氏の話が人気なのも、ベストセラーコードにきちんとのっとっているといえよう。
☆高人気の三田国際の説明会のプロット曲線は、単純に20世紀型教育を悪、21世紀型教育を善とするシンプルな勧善懲悪V型成長物語。やはりこれが人気がでる説明会なのだ。ただし、ベストセラーコードは、プロットラインだけではなく、テーマ、キャラクター、ボキャブラリーなどの分析もしている。
☆実は、三田国際は、大橋学園長がV型成長物語を語るところから静かに始まり、田中先生と内田先生、今井先生が次々にW型の旅に誘い盛り上げる。説明会自体のプロットラインは、上り坂ラインというシンプルさなのである。シンプルはやはり美学である。
☆それはさておき、田中先生はテーマのデザインを披露し、内田先生はキャラクターを魅せつける。ここが実に肝なのである。そして、今井先生はおもてなし満載のボキャブラリーを取捨選択して巧みに表現する。
☆聖学院の清水副校長のトークは、これらを1人ですべて行う。それゆえ、聞いている母親は涙する。児浦先生、日野田先生はV型成長物語を、本橋先生は、W型の旅を誘う。涙した母親は晴れやかになっていくのである。しかし、唯一伊藤豊先生は、実はM型の旅を誘う。根源的な旅にいっしょに出ようよと。これは男子校ならではの特徴だろう。
☆晴れやかな光景に立ち臨むわが子の挑戦心への想いが、共感の輪を広げる。男子校はやはり何が起こるかわからない森の奥深くに足を踏み入れたり、洞窟の奥に進んでいったり、大海原に漕ぎ出でるスリリングな躍動感がポイントである。
☆こうしてみていくと、人気のない学校説明会は、感情曲線が一本調子か、下がりぱなっしということだろう。あるいは上がりっぱなしで、地に足がついた感じがしないということだろう。
☆さて、この物語コードであるが、読み解きには、結局比較と因果関係、置き換え、カテゴライズなどの「思考スキル」で分析でき、コンピュータで行うこともあって、思考コードでいえばB2レベルである。首都圏模試センター恐るべしである。
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