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【C軸思考問題】認知的能力と非認知的能力の成長の絵柄

☆子供や生徒、学生、教師と対話していると、成長のきっかけとなる「最近接発達領域」が共有できるときがある。おそらくそのとき、出会った相手も私もなんらかの自己変容をしている。
 
☆自己変容は、認知的能力と非認知的能力の関係によって決まると思う。両者の関係がどのようになれば、どんな成長をするのかはまだ未解であるが、思考コードでA軸思考とB軸思考だけでは非認知的能力は大きく成長しない。
 
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☆この思考コードのA軸思考人間からB軸思考人間に成長するには、5つの思考スキルのトレーニングが必要である。

☆しかし、このスキルの中でも「置換・変換」スキルはなかなか身につかない。ほかのスキルは、記憶した知識を想起したり、関係を考えるときに、わりと目に見える素材を手がかり・足がかりとして使えるから、数える感覚でなんとかなる。

☆しかし、これだと、B軸思考でもB1領域まではなんとかなるが、それ以上になると、できるときもあるしできないときもあるという反応率になる。偏差値でいえば、45~55の層は、この段階。B思考問題は、したがって、彼らにとって、チャレンジ感覚になる。

☆ところが、「置換・変換」スキルがある程度自在に使えるB軸思考人間に成長すると、当然ながらB軸問題は、そう難しくはない。偏差値でいうと55~65くらいの状態だろう。

☆偏差値が65以上になると、C軸思考人間のC2領域までは成長する。しかし、C3領域については、難しいというより、偏差値に関係ない世界に突入する。

☆もし偏差値が低くても、C3領域にいるのが居心地が良い生徒というコトになると、ものすごい潜在的可能性がある。認知的能力より非認知的能力の方が先に高度に成長したと言える。順番が一般の生徒と違うだけで、認知能力はあとからついてくるし、将来はAIがそこを補完するだろう。

☆いわゆる天才だ。しかし、発想スキルのトレーニングをすることで、天才の領域にどの生徒も近づける。ここまでくれば、1人の大天才ではなく、多くの近接天才がコラボして、大天才以上のアイデア、技術革新、新しい組織を生み出せるだろう。

☆さて、しかし、この発想スキルであるが、実は、C軸思考問題以前に発動している。「置換・変換・転換」スキルを活用する瞬間に動き出しているのだ。それはほとんど暗黙知に近い状況で活用しているから、本人は気づいていない。

☆なんだ同じじゃないかとか、なんだほとんど同じだけれど微妙に違うなとか、あれ、ひっくり返っちゃったとかいう感覚は、発想スキルが同時に作動している。

☆だから、最近接発達領域とは、まさにこの発想スキルが作動するかどうかの瞬間に開かれる。発想スキルを作動させるか否かの瞬間を見逃すと、作動させないで終わる時が多く、そのとき最近接領域は閉じてしまう。

☆しかし、この最近接発達領域を開き、そこからジャンプする経験を積めば積むほど、成長速度は速くなる。そのためには、協力者が必要だ。それが教師であっても友人であっても、実はだれでもよい。

☆ファシリテーターとして、発想スキルが発動するようにアフォーダンスとしてのリアリスティックフィードバックができればよいのである。

☆この瞬間の道のりがプロセスフォリオで、ポートフォリオのように残らないし、いわゆる解放のプロセスとは次元の違うものである。この発想スキルをアフォードしていくプロセスフォリオは、最近接発達領域の開かれる連続体で、成長過程の中に包まれ、見えなくしまうものである。

☆だから、このようなファシリテーションができるのは、友人よりトレーニングを受けた教師の場合の方が多いということになる。

☆ここまで来ると、ヴィゴツキーの発見した最近接発達領域とは違う意味合いになっているかもしれないが、より発展的だと思われればよいかなあとは思う。ヴィゴツキーは若くし亡くなった天才だから、実は最近接発達領域の研究ははじまったばかりのところで終わってしまった。それを多くの人が継承して、今も研究は続いているわけである。

 

 

 

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