【対話】ファシリテーターの重要な役割②
☆ユースプロジェクトが創ったワークショップのプロトタイプについて対話をした。生徒と同様、PBLを行っている先生方が集まるから、同じようにディスカッションはできるのではないかということになった。
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☆確認し合ったことは、ディスカッションの3つのステージのうち、もし1stステージのように、誰か1人が仕切ってしまって、形だけディスカッションになっている抑圧型対話の状態に、万が一なってしまったらどうするか。
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☆2ndステージである互いの考えや感じ方を承認にしながらも、そこで終わって、新しいアイデアが創発されない双方向型対話の状態が続いたらどうするのか。
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☆もしも、その2点をクリアすれば、「世界を変える学び」の新しいプロトタイプが創発される対話の状態になるだろうと。
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☆これらの点をファシリテーターはどうするか、ユースプロジェクトが創ったディスカッションワークショップのプロトタイプがすでにそうなっていたので、ポストイットの使い方、それぞれの問いの役割についてリフレクションした。
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☆3人の先生方は、普段から授業でPBLを行っているし、いろいろな場所でファシリテーターの経験も積んでいるから、ここらへんの議論は速やかに通過した。
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☆問題は、教師と生徒の最近接発達領域が違うので、教師セクションでは、問いの臨機応変な変更が必要になるだろうということになった。
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☆これは、はじめて会う先生方が多いから、実際にその場にならなければわからない。問いというのは、3rdステージのディスカッションにシフトするまでは、ある意味足場づくりの役目が大きいから、教師の場合、すでに暗黙知としてその足場ができている場合も多いから、そのような問いを必要としないで、すぐに3rdステージにジャンプしたいというチームもでてくるだろうと。
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☆実際、5月27日は、教師セッションの中では、そういうグループも出現した。ファシリテーターは、その瞬間を見逃さず、柔軟に変更していった。
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☆いすれにしても、ポストイットは、参加者全員のアイデアを可視化して対話ができるので、それぞれのグループが、どのステージにあるのかファシリテーターはすぐに察知できる。
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☆しかし、3rdステージにジャンプしたいという意欲がでてきたのは、実は2ndステージからきちんと出発できたからである。
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☆一見、遠回りをしているようだが、自己主導型知性の状態で3rdステージに突入すると、互いに自己変容ができないから、創発しているようで、妥協になってしまうということがある。
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☆ファシリテーターは、その対話の形式と本意のせめぎ合いを生み出すスキルが重要である。デビッド・ボーム的に言えば、顕前秩序が内蔵秩序から生まれてくる対話の状態をファシリテートすることが大切。
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☆顕前秩序と内蔵秩序がつながっていないと、つまり形式(form)と質料(matter)と置き換えてもよいと思うが、種というmatterにすでにformが内蔵されているように、顕前秩序は内蔵秩序を足場としていなくては花(創発)は咲かないのである。
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☆ファシリテーターの腕の見せ所は、この顕前秩序と内蔵秩序が、結びついていることに気づくアンビバレンツやジレンマ、パラドクスの瞬間を創り出すことが大切であるということを、今回改めて実感できた。
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☆とはいえ、実際の場面で、その局面は、ファシリテーターにとって手に汗握る緊張が走る瞬間である。クリエイティブ・テンションとも呼ぶが、この瞬間を創り出し、忍耐するには、相当タフネスでなければならないのである。
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☆その転換点という瞬間を幾つもクリアした3人の先生方に感謝の気持ちと尊敬の意を表したい。さすがSGT(スーパーグローバルティーチャー)である。
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