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2019年中学入試の新フレーム(119) IB数学研究の第一人者 馬場博史先生に会う。算数の新たな流れ生まれるか。

★2019年は、中学入試で算数一科目入試や数学的思考ベースの思考力入試が新たな流れをつくるのではないかと、述べたばかりであるが、本日香里ヌヴェール学院で、IB数学研究の第一人者馬場博史先生にお会いした。驚愕。感動した。
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(ホンマノオトでご紹介した馬場先生の本。)
★というのも、まだ香里ヌヴェールが21世紀型教育改革を実行していない2016年3月7日に、ホンマノオトで、馬場先生の著書を紹介させていただいていた。先生は、当時関西学院千里国際中等部高等部数学科教諭で、同キャンパスに併設の関西学院大阪インターナショナルスクール(国際バカロレア認定校)の数学教育を長年研究して、著書多数、講演多数の有名人。
★その後、岡山理科大学附属高校IB推進室コーディネーターも経て、21世紀型教育改革を推進して、勢いのある香里ヌヴェール学院の数学教諭として、今春着任したという。そして、目の前にいらっしゃるのであるから、この偶然的必然性に驚かないわけにはいかなかった。
★何よりも、私のわけのわからない話に、寛大にも耳を傾けていただき、新しい発見のきっかけまでもらってしまったのだから。
★私の最近のテーマは、どうやったら創発思考(C軸思考)を開発する問いやプログラムを高偏差値の生徒以外にも提供できるのだろうかというものであるが、この点について、馬場先生に、失礼も顧みず質問してみた。
★馬場先生は、難問をぶつけて開発することは、従来もそうだったけれど、それでは、多くの子どもたちには、そのC軸思考を共有するコトはできない。だから、いわゆる難問ではなくて、身近なというか実際的なモノやコトを扱って問題をつくる必要があると。それについては、昨年の「未来の先生展」で、観覧車を使って講演したところだという。
★しかし、結局は、問いをぶつけるのではなく、数学的な思考を、実際に活用するとき、C軸思考は生徒の内側から立ち上がるのではないか、するとそれが内蔵システムと化して、他の事象にも適用できるのだと。
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(C軸思考問題を投げることで、創発思考の内蔵システムに気づくという考え方では、いつまでたっても、数学が得意な生徒しか気づきを得ることができない。)
★衝撃的だった。私は硬い数学ではなく柔らかい数学としてC軸思考問題がないかと思っていたが、A軸思考やB軸思考の問題で学んだ数学的思考を活用することで、C軸思考の内蔵システムが生まれるのであるというのである。
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(A軸思考問題やB軸思考問題で、生まれた内蔵システムを、実際に活用してみるとC軸思考の内蔵システムが次に生まれてくるという場合もある。これだと、より多くの生徒が創発思考の内蔵システムを生み出すことができる。)
★実際に、馬場先生は、高1の生徒1人ひとりにミニテストをつくる機会を設け、ペアで解き合い、互いのテストのデザインを評価するペアワークをやっている。その実例を拝見したが、テストの目的、難度の最適化、テストに対する感情などの観点から互いに評価し、リフレクションしているのである。しかも、その観点は、自然と生まれている。機会がそうさせたのである。
★ミニテストというコンテンツのみならず、そのシステムをメタ認知を発動して見出しているわけである。この体験の連続の向こうに、C軸思考、すなわち創発思考の内蔵システムが立ち上がると予感した。
★授業からC軸思考を眺めるのと、模擬試験のデータからC軸思考を眺めるのとでは、景色が違うのである。そんなことに気づき、ますます、今後の数学教育が創発思考の成長を促進する重要な科目であると確信できた。やはり、一握りの天才から集合天才は可能なのだと。
 

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