2019年中学入試の新フレーム(132) 関西カトリック2校合同説明会満員御礼!【3】
★中学入試は、私立学校にとっては、アドミッションポリシーが反映する場である。新タイプ入試は、2科4科入試と違って、私立学校が独自に切り開いた新市場である。もちろん、2科4科入試も、もともとは私立学校が作ったわけであるが、30年以上前は、男子校であっても面接があったり、女子校などはワークショップ型の面接も行っていて、多様な入試があったのである。
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★それが中学受験の大衆化という塾主導の市場形成が行われていったとき、2科4科入試に絞られ、それに私立学校のアドミッションポリシーが引きずられるようになって、その究極的システムが塾歴社会の登場である。
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★さすがに、私立学校はこれではまずいと市場に対する影響力を回復すべく、新タイプ入試を開発することになったのだが、学校の場合、アドミッションポリシーは、カリキュラムポリシーやディプロマポリシーとの一貫性が必要である。
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★思考力入試や自己アピール入試などを行うというコトは、その学校はPBLを行っている必要がある。こういう流れで、石川先生は「100%PBL宣言」と題して講演したのである。
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★石川先生はActive Learningでもなく、Problem based Learningでもなく、Project based Learningであるコトの“Soul”を語った。
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★ALにしてもProblemBLにしても、与えられた問題という被制約性がある。思考コードでいうA軸思考(知識・理解)、B軸思考(応用・論理)は、主観を排除された世界で、それは事実を冷静に観察するという意味では重要であるが、それで終わったとしたら、そこに自分が存在しないのであると。
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★自分だったらどう考えるかというC軸思考(批判・創造)まで行うのが私学の教育であると。ここで、A軸思考、B軸思考という生まれる時代を選べない被制約性にある人間存在の宿命を捉えるクリティカルシンキングは大切で、それがあるから、その被制約性を検証しながらその鉄鎖をブチ切り、世界を変えようとする自分の未来の可能性に自己投企(Project)するのだと。
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★これが石川先生の良く使う「自分軸」ということだと思うが、決してエゴではなく、世界を変えるために自己を未来という時間性に投げ出すのだから、そこはハイデガー的ではあるけれど、結局は、man for othersの隣人愛につながるのだというのだろう。
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★首都圏模試の「思考コード」ごとに多様な問いを設定しているザビエル問題から、C3レベルの思考問題「もし、あなたがザビエルのように知らない土地に行って、その土地の人々に何かを広めようとする場合、どのようなことをしますか?600字以内で答えない」を例に語った。
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★石川先生自身日本中走り回り、知らない土地で21世紀型教育を布教しているから、このC3問題には、思い入れがあるようだ。なるほど、このC3問題は、まさに自己投企の問題であると改めて感じ入った。
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★続いて、イマージョン教育の真髄について、香里ヌヴェール学院の学院長補佐江藤由布先生が熱く語った。
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★イマージョン教育は別に英語4技能に対応するために行っているのではないのだと。結果的にそうなるだろうが、英語という言語を活用して自由に考える楽しさを身に着けてほしい。だから、定期テストも、いろいろな解答がでてくるTOEFLでいうインディペンデントスタイルのライティング問題を考える機会を設けているのだと。
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★なるほど、正しい文法で書くことを目的とするのではなく、それは母語を体得するときのように、試行錯誤しながら学んでいけばよく、自分の考えを表現してみることが一義的なのである。
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★正しく書くこともいずれは必要になるが、目的と手段を転倒すると生徒の成長を阻害することになるのだと。今までの日本の英語教育は正さなければという江藤先生の熱い思いが伝わってきた。さすがは学院長補佐である。石川先生の自分軸を映し出す自己投企という意味での“Project”観を共有されているなあと感じた。
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★そしてさらにショー・ブライアン先生がTEDよろしくすてきなプレゼンテーションをした。
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★四則混合算や円周率を英語でどのように表現していくかという基礎的なイマージョン教育の実演をされたわけだが、最後はグーグルアースにその基礎的な数式を適用するところにジャンプした。この適用とは、思考コードのB軸思考の「応用・論理」の「応用」のことを意味している。ブルームは英語では、“application”を使っているのだから。
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★講演終了後、ブライアン先生と少し話をしたが、時間があれば、なぜ円周を“circumference”というようになったのか言語の起源にまでたどりたかった。そうするともっとPBLが実感できたかもしれないとすぐにリフレクションされていたが、それ自体まさにPBLである。自己投企は自己反射とセットである。
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★数学の数式(今回扱った円の面積は積分という関数方程式で表現できるから、数式も「関数」なのであるが)をリアルな現象に適用させたり、起源を思い巡らしたりするのは、被制約性をゆさぶるオーセンティックなPBLである。
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★ダ・ビンチ的な学びですねというと、その通りと表現力あふれる表情ですぐに握手をしたが、このオープンマインドは、PBLには欠かせないと改めて気づきをもらった。
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