2019年中学入試の新フレーム(137) 和洋九段女子 生徒はのびやかに学ぶ。(2)
★たとえば、歴史の本多先生。先生は、最近いろいろな学校でリフォームされているアクティブラーニングやICT専用のラボをデザインしているICT関連企業で、モデル教師として、講演など多数依頼されている。和洋九段女子でも本多先生の授業は、PBLのプロトタイプになっていると思う。
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★私が見学させていただいたときは、ちょうど「戦争はいかにして起こるのか」というのがトリガーっクエスチョンだった。生徒は、ホームワークというアクティビティで、歴史上勃発した幾つかの戦争をリサーチしてくる。どうして起こることになったのかをまとめてくる。
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★リサーチするには、実は認知的スキルとして、「事実・意見の違いの明確化」「比較・対照」「因果関係」「具体化・一般化」などをつかって考えまとめるという認知的能力の足場づくりがなされている。
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★しかし、同時に戦争という人間どうしの葛藤に心を痛めない生徒はいないし、なんとかしなければならないという世界の痛みを感じる。つまり、非認知的能力を豊かにする準備も織り込まれているのである。
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★そして、授業は、いきなりグループワークというアクティビティを行うのではなく、グループのメンバーにどのようにわかりやすく説明するか準備をする個人ブレストの時間を設けている。
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★この時間は、まとめの作業というよりも、調べたことを見直しながら、自分の考えや感じたことをリフレクションし、実はそのときもしかしたら新たな気づきがうまれるかもしれない発見の瞬間としての時間にもなっている。
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★再現の準備であると同時に発見のジャンプの時間でもある。
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★こうして、グループブレストにシフトし、自分の説明と照らし合わせることによって、仲間がどのような認知的スキルを活用しているのか意識化できる。新しい認知的スキルを学ぶこともあるだろう。
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★そして、もう一つ重要なことは、仲間1人ひとりが感じている痛みの共有である。この共有は、「戦争はいかにして起こるか」を考える意義と意欲を共有することになり、内在的モチベーションに火が付くのである。
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★ここに、共感的コミュニケーションの広がるメカニズムがあると思われる。
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★その後授業は、各グループのまとめのプレゼンがあり、その内容をカテゴライズという認知的スキルによって、戦争というコトがいかにしておこるかその構造化・一般化へとジャンプしていった。
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★本多先生は、この構造をもとに、これから歴史を学んでいく時に現れてくる戦争について思考することができると語る。知識を憶えるだけではなく、考えることが大事だという場合、思考のフレームを創っていく足場づくりがあってはじめてできるのである。
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★この足場ができれば、思考が回転しだすとともに、新しい知識がこの回転の渦の中に絡めとられ、知識もまた増えていくのである。
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★そして、PBLのプロセスで痛みを共有したことが、どうやって戦争を解決し平和をもたらすことができるのか創造的思考も刺激することができるのではないか。
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★このような思考の回路がどんどん内面に増えていったとき、互いに語り合いたくなるのは自然なことである。この自然さこそ、和洋九段女子の生徒がのびやかに学ぶメカニズムなのである。
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