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2019年中学入試の新フレーム(159) ICTが変える世界を見通せる本

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★というのは大げさだが、自分が思い描く未来ぐらいは、ほとんどが図になっていて、自分が語ることぐらいは、すでに他の方々が考えていることが多いということがわかる。
★私の今の興味は、1986年中学入試が大衆化したのは、ホストコンピュータで、大量にデータ処理し、分析でき、推論ができるようになってからだが、それがダウンサイジングになって、SNSによって、ますますデータ分析や情報分析がユーザーベースになっている現状は、その背景にICTの急速な進化があるが、今後どうなるかということだ。
★その未来予想の足場を140枚弱の図で的確に表現してくれているのが同書である。しかもロイヤリティ―フリーで、同書に掲載されている図すべてをパワーポイントのデータとしてダウンロードできてしまう。当然、同書を購入しないとパスワードを取得できないが。
★とにかく、たとえば、ムーアの法則からメトカーフの法則までは、すぐに図を見ればわかる。しかし、その先は?である。ただ、いろいろな人と話していると、まだムーアの法則で止まっている人もいるし、メトカーフの法則で止まっている人もいて、その先を見ようとしない人が意外と大いのに驚くわけだが、話の出発点のデフォルトを高めに設定できるのが本書のよいところだ。
★AIの歴史もおもしろいし、まだ機械学習の話で止まっているが、その先の予感がするところまでは図になっている。その予感を確かなものにするのは、読者次第だが、機械学習段階の話で、ああでもないこうでもないという議論は、先に進めたいところである。
★ICTの進化は、経済を変化させるし、経済が代われば、教育も変わる。現状の教育の変化はガバメントを中心とする政治的制度的側面からのものが多いが、ICT市場経済はもっと先行している。
★教育と政治のみならず、教育と経済あるいはマーケットという切り口で、そろそろ考えていかなければらない時機である。
★なぜなら、中学受験生が30代になってそれぞれの持ち場で中核をなしているのだが、そのときには、高齢化の比率がすさまじく、生産年齢人口は減少していて、生き抜く力として、どういう仕事をして、経済生活をしているかは、何より大問題である。少子化は避けられないから、少子化でも一人当たり、今の3倍くらい稼げる市場を創出しなくてはならない。
★昔のようにというか今まだそうだが、未来は、高偏差値の大学を出たからといって、それで高給取りになれるわけではない。学校は、基本的には、税金と生徒からの学費収入に依拠しているから、ある程度安定的であるが、ほとんどの人は、自分で稼がなければ、経済生活を送ることができない。
★この経済生活の方法論の大きな違いを無視して、教育は成り立っている。教師は、教師の経済生活の方法から生徒の将来をサポートしようとすると、とんでもない空振りになることがある。
★終身雇用や学歴社会のときには、そこは気にしなくてもよかったのだが、そのような社会が崩れている今、子どもたちの未来の価値を豊かにする教育環境を整えなくてはならない。子どもたちの価値は精神的価値だけではなく、経済的価値も両立しなければ生きていけない。
★しかし、教師歴が長い教師がそんなことに目配り気配りするメタ視点を持っていない場合が多いだろう。
★教師がファシリテーターになるのには、そういうメタ視点をもたなければ、生徒の未来は絶望的だからである。
★えっ、まさか!まだまだそう思っている教師も保護者も多い。イギリスのEU離脱やアメリカの保護貿易主義化というグローバリゼーションに壁を立て始めているのは、遠くの話でしかないだろうが、世界では、壁を立てるか、社会契約を更新するかどちうらかしかないという議論がなされている。
★明治政府以来、社会契約的発想をそもそも捨て去っているから、日本ではそういう議論にはならない。それにもともと日本は壁の内側で生計をたてられてきたから、壁を維持するかとっぱらうかの議論もでてこない。
★社会契約的発想をもっている私学の系譜の中で、その精神を継承している21世紀型教育を推進している学校ぐらいしかまだ気づいていない。
★21世紀型教育の重要性を普及しようというのは、生徒たちにそこに気づいてほしいからだ。もちろん、彼らにとって、その気づきにこそビジネスチャンスがあるわけである。

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