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【C軸思考問題】 数学とアート

★音楽や美術といったアートに触れると、インスピレーションが湧いてくるが、数学の式の変形プロセスを見ていても、やはりインスピレーションは湧き出てくる。バッハの平均律はグールドの演奏が好きだけれど、インスピレーションは湧き出てこない。あまりにグールドの個性が強すぎて、聞き入ってしまうからだ。
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★馬場博史先生の「マスメディアの中の数学」とデヴィッド・ボームの「創造性について」という本をどちらも斜め読みなのだが、リヒテルの平均律の演奏を聞きながら、こちらを読んだり、あちらを読んだりしていると、インスピレーションを刺激する「C軸問題」を探そうというのが何か違うというコトに気づく。
★バッハの平均律は、あくまでメタファーであって、数学的な意味での12音階の平均律の話ではなさそうだが、それでも、馬場先生が「映画 ST赤と白の捜査ファイル」で扱われているいくつかの数式のうち、微分方程式の式変形についてご自身で展開しているページは、まるでバッハの楽譜を見ているように美しい。
★一方、ボームもこの変化という運動体こそ創造性を生み出す「一貫性」や「内蔵システム」が作動しているという。もちろん、ヨーロッパ言語や12音階という西洋音楽のコードが普遍的「一貫性」でも「内蔵システム」でもないという。
★ガリレオやニュートンらがつくった科学のコードやバッハ、モーツアルトが確立していった12音階のコードでは、地球全体というか宇宙全体に横たわる「一貫性」や「内蔵システム」をカバーしきれないのかもしれない。
★しかし、馬場博史先生が、75以上の映画やアニメ、ドラマ、小説などの作品で扱われている数字や数式、幾何を数式変形していくプロセスは、ある意味宇宙の内蔵システムの音階なのかもしれない。
★数式変形するという果てしない置き換え操作。途中で変換、転換を繰り返すこのネバ―エンディングストーリーは、それそのものがクリエイティビティであるのかもしれない。
★馬場先生が、数式をいろいろな現象を見通すモノサシにしたり、現象を創り出してみたりする内蔵システムとして活用する機会を生徒に設定するが、そのこと自体がクリエイティビティそのものなのかもしれない。
★一方、馬場先生は、「小説 陽気なギャングが地球を回す」ででてくる「ゼロで割る」のメタファーの誤謬を解くときに、「何かを求めるために意味があるから計算をする」というシンプルな結論にいたっている。
★ああなるほど、クリエイティビティは意味を生むことであると改めて気づいた。数式変形、すなわち置換操作は、意味を生成する。数学の入試問題は、その意味を見えなくするパラドクスが存在している。
★C軸思考問題とは、問題の隠ぺい性を暴くとき、数式変形が平均律の楽譜のように意味の響きを奏でる。C軸思考問題は、問題を問い返す問いを創るという問題であるのかもしれない。それは、すぐにメタ認知の問題と呼ばれそうだが、その問いでさえも問い返す問いなのだろう。
★私たちは、ツールという理解のための媒介項をいっぱい用意する。問題もそのツールの1つである場合が多い。生徒の最近接発達領域を見出すはずのツールが、補助輪が多すぎて、補助輪をたくさんつけたムカデのように問題の解法の上をなぞるだけのアクティブラーニングをやっているときがしばしばある。顕在システムを食い尽くして満腹になっているだけなのに。。。

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