【学校選択×学力モニタリング】(01)幻想払拭
★帰国生の大学入試の小論文においては、ワークショップを行うから、私がチュータリングを行うのは15名くらいだが、各国から集まて来ているので、一つの思考コードを押し付けることはしない。
・
★思考コード的なものを思考戦略として、自ら組み立てるワークをしながら進めていく。とはいえ、IBのディプロマ経験者や現地校のライティングの学びを体験している生徒が多いので、自分で思考戦略を組み立てることに抵抗感がないのは、幸いである。
・
★中学受験生にしても帰国生にしても、放っておくと闇雲に問題にぶつかっていく。潜在的に持っている各人の思考方法を十分に発揮できないで、対処療法的に問題を解決していくから、当然なかなかうまくいかない。
・
★しかし、ひとたび戦略を自分で組み立てる試行錯誤を始めると、俄然違ってくる。学力が向上したというコトになるのだろうが、それよりも、人生の課題やゴールをクリアする自分なりの方法論を見出す過程が展開しはじめたとみなした方がいいだろう。
・
★思考戦略とは受験テクニックというものではない。とはいえ、戦略である以上、そのようなテクニックもカバーし得るから、そのことを生徒が理解すればよいだけである。しかし、そう焦らなくてもよい。3か月くらいでその差異がわかってくるはずである。
・
★思考コードというのは、モノゴトの微妙な「差異」を認識する足場である。思考戦略とか思考コードとかを意識すれば、対話において「差異」について話し合い、そこから見えてくる課題をどうやって解決するか気づきを得る足場づくりができる。
・
★戦略とかテクニックとかいう言葉が嫌いな方もたくさんいるが、メタ認知と置き換えればよいのではないだろうか?ところがこのメタ認知は、本当はカントのカテゴリー表のような認識論ベースの足場があるはずで、メタ認知も構造的なものをもっている。
・
★しかし、現状教育現場で、メタ認知という言葉は、そういう分析が進まないまま活用されているから、「~しなければならない」という言葉を使わないための置き換え用語として使っている教師がほとんどである。コーチングとかファシリテーターの使用語として借用しているのが現状だろう。
・
★生徒の主体性や自発性は、「~しなければならない」という命令口調や道徳的文言ではうまれてこないのだ。メタ認知をしなければならないというわけであるが、メタ認知のシステムの事実認識をしようとしないために、これでは元の木阿弥ではないだろうか。
・
★学びとは、基本はリサーチである。エビデンスとか客観的とかいう人に限って、自らリサーチしないで、人が行ったリサーチを、だれかが考えた借り物の尺度で、それはエビデンスがあるのか、しんぴょ性は、このデータと照らし合わせて主観的で、客観的ではないのではないかと鬼の首でもとったようにわめく。愚かしい。
・
★主観的とか客観的とか「的」をつけている以上、しょせん確率的に妥当性が高いかどうかしかわからないのが、モノゴトというものである。
・
★相関性とか、妥当性とか、関係性を追究するのが学びであって、絶対的で神秘的で、結局権力的な横暴を背景に抱えているものを振り回すのは、時代錯誤も甚だしい。
・
★だから、受験も同じで、偏差値は、統計的な確率論的考え方であって、偏差値の使い方を間違っている場合が、多いけれど、偏差値そのものが何か権力を持っているわけでも何でもない。しかし、このあたかも偏差値悪玉説があるかのようなファントムに、基づいて噂話をしている魑魅魍魎がこの業界や教育現場には、いやいずこも同じであるが、閉塞状況においては闊歩する。
・
★戦略とは、確率論的なカケが最後までつきとう。できるだけ、高くしようとはする。しかし、リスクマネジメントは必要だ。だから、受験の時には併願戦略を考えるわけだ。これはリスクマネジメントなのだ。問題と向き合ったとき、そこには何らかのストレスが生まれる。受験に限らず、課題解決をするとき、心のケアも想定しておくことが必要。それと同じだ。
・
★大学入試が変わろうが変わるまいが、その制度的なものは、現状認識上の条件にすぎず、生徒1人ひとりにとっては、その変化を織り込んで、問題解決する方法を自分なりに構築できるかどうか、最近の言葉ではデザインできるかどうかということだろう。
・
★いやそんな考えではダメだ。制度が人の人生を左右する場合があるから、正当な制度を考えてあげなくてはと。それはそうであるが、現状認識によれば、今の受験生が、制度に関して何か物申すことができるわけではない。
・
★仮にその制度が改悪だとしたら、人災である。目の前にその危機が訪れたとき、自分はどのようにサバイブするか方法や戦略を素早く構築するブリコラージュ的な野生の思考を養うことの方が優先順位は高い。
・
★そしてこの野生の思考こそ、制度のパラダイムを近い将来シフトする戦術でもあるのだ。つまり、惰性の思考では、制度なんて変わりようがない。
・
★そんな惰性の思考にまどわされることなく幻想払拭するためにもリサーチ戦略のサバイバルスキルを生徒といっしょにトレーニングしていきたいのである。ピアフィードバックは有効な対話だと思う。
| 固定リンク
「創造的対話」カテゴリの記事
- 「事実は小説よりも奇なり」というフィクション(2022.08.17)
- 【CoMe世代】人類の子供たちと言葉にする時間を共有できるか?(2018.07.22)
- 【CoMe世代】人類の子供たちが体得していく知のスキル。システムとしての対話。(2018.07.22)
- 【学校選択×学力モニタリング】(06)新タイプ入試と受験生タイプのマッチング(2018.07.17)
- 【学校選択×学力モニタリング】(05)帰国生枠大学入試小論文をきっかけに(2018.07.16)
最近のコメント