2019年中学入試の新フレーム(170) 静岡聖光学院の教師 柔らかく熱い突破力(2)
★そこで、そのメタファーを机の配置という空間デザインに変換することにした。田代先生も学びの空間を変幻自在に変えられるのは、やはり普通教室であると判断した。
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★また、4人1組でチームをつくれるので、今回は12人で行うことにもした。それに私とワークショップをコラボするときは、最初にダイアード(ペアで話すアクティビティ。ちょっとルールがあるが)をやるのは、そこは阿吽の呼吸で、ルーチンだと田代先生は知っていたので、偶数にしたという。
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★そういうわけで、メタファーとしてコンフォートゾーン(以降「Cゾーン」と表記)を、上記の図のように12の机を教室の対角線上に並べる感じにした。そして、ここがCゾーンだということを教えるのではなく、その場でペアになって発信と傾聴のダイアードを行った。
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★一度や二度程度だと、メタファーを通して浮かび上がるイメージが脳内と末梢神経に響き渡らないので、席替えを素早く行いながら同時にダイアードを行っていた。素早く席替えを行うことで、末梢神経が活性化するわけだ。
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★そして、このCゾーンで、議論をしたり、フローチャートや図を描く作業をする。フロー(没入)空間ともなるわけだ。
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★それから、田代先生と、クリエイティブシンキングを発動する仕掛けをどうするか打ち合わせ(といっても、図書室で歓談したり、車の中で話したり、駒込で飲みながら。そういうときにクリエイティビティはマインドセットされるものだ)、やはり脳内次元の過程を可視化し、可視化したものを議論・共有し、再び脳内次元で再構築する過程がよいのではないかと。それだと確かにアクティブブレインになりクリエイティブシンキング(以降「C思考」と表記)は発動する。
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★そこで 、3チーム用のステージをつくった。ホワイトボードのある場所と、それを挟む教室の両サイドの窓をつかった。幸いすべての側面にどこでもシートを貼り付ける(静電気で)ことができた。
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★2時間のワークショップでは、4つの大きな問題(もちろん連続性はある)について、議論し、図に変換し、プレゼンし、再構築するというループを回していった。
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★それは行動としては、Cゾーンとステージを往復するだけではなく、他チームのプレゼンを聞くために、ぐるぐる循環することになり、2次元に可視化するだけではなく、3次元でも、可視化というよりは、末梢神経による感視化であるが、とにかく脳内次元から外に映し出しては、脳内に取り込むという作業になった。
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★そして、そのうちに、Cゾーンとステージの境は越境され、ステージでもCゾーンでも議論や作業が交差するようになった。
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★ かくして、Cゾーンとステージという学びの空間は、先生方1人ひとりの脳内に転移し、CゾーンとC思考が脳内でつながっているフロー状態のワークショップに移行した。
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★こんなことは、どこのワークショップでも起こるのかというと、実は珍しいことである。形だけでも、学びの空間を活用できる段階、つまり可視化ができる段階に到達できれば、ワークショップとしてはまずます成功である。
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★しかし、静岡聖光学院の先生方にとって、このようなワークショップは、自分のための学びではなく、学校全体、生徒全体、世界の痛み全体を引き受けるというミッションを受け入れて、臨んでいるのである。要するに、覚悟が違うということだろう。静岡聖光学院の底力と突破力が見えた瞬間だった。(了)
※問いと生徒の成長と3ポリシーと思考コードと思考力入試の関係を先生方が深めていく過程についての詳細、またループがスムーズに回るステップモニタリング手法についての論考は膨大になるので、いずれどこかで論じられたらということにしたい。
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