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2019年中学入試の新フレーム(189) 工学院 田中歩教務主任の知のマネジメント 

★工学院大学附属中学校・高等学校の教務主任田中歩先生からメールがあった。歩先生は、21世紀型教育機構のイベントや東京私立中高協会の研修などで、講師やファシリテーターを行っている。
★何より、今首都圏模試センターや各学校で作成している「思考コード」に先駆けて、ファーストプロトタイプを創出したチームTOKの1人である。
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★だから、歩先生の工学院「思考コード」のコンセプトは、評価のためのルーブリックで終わらないし、授業やテストデザインの足場でも終わらない。そういう機能的な側面はもちろんあるが、考えることそのもののコンパスなのである。あるいは、学び方の羅針盤である。
★だから、工学院の思考コードを教師も生徒もシェアリングすれば、目の前に立ちはだかる問題を解決するときの思考を発動できるという。
【参考】「首都圏模試サイトの記事」
★知識・理解をどのように広げていくか、そして最後は社会に役立つところまでいくオーセンティックな学びになるのかどうか、自分が今どこで考えているかメタ認知できるわけである。
★実は工学院の思考コードは、他の団体が作っているものとは一味違い、知識が創造されるという次元をもっている。知識を学ぶ段階、知識を論理的に批判的に思考する段階、知識の新しい意味に気づいたり知識を新たに創ったりする段階というように。
★そして、その知識のトルネードが、他の知識にも適用される次元もあれば、複数の知識の関係を思考する次元もある。そして、その関係が最終的には、また新たな関係を創造していく段階に立ち上るわけである。
★すなわち、知識=思考=言語=創造という発想でできている。だから、考えるときに知識が必要ではないかという議論は起こらない。そのような疑問が生まれる場合は、工学院独自の思考コードの理解不足のケースがほとんどである。
★ともあれ、工学院では知識と思考の密接な関係は、当然なのである。ただ、知識は諸関係を生み出し、その先にその諸関係が化学反応を起こし、ブレイクスルーに到るわけである。
★最初の段階とブレークスルー段階を静止画像のように別々に見ると、知識と思考が別々にみえるかもしれない。しかし、知識がパワフルになり、新たな知識を生み出す変態の過程であるという捉え方を田中先生は教師と生徒と共有しようとしている。もちろん、変態の過程は人さまざまである。知識を憶えるところからスタートする必要は必ずしもない。
★すでに、開発して実践して5年目になるのだが、今年からSTEAM教育を前面に出すコースを作ったり、CLIL的発想が高校に拡張してきたので、夏休み期間中に、各教科ごと「思考コード」でカリキュラムをリフォームすることにしたという。
★その際、てっきり教科主任といっしょに歩先生が議論しながら再構築するのかと思いきや、そうではないと歩先生。全教員1人ひとりが取り組むのだという。
★なるほど、田中歩先生の組織マネジーメントの仕方は、トップダウンでもボトムアップでもない。個人の持ち味が発揮できる雰囲気を作ろうとする。個人の試行錯誤や発信を重視しているのである。
★しかし、それでいてバラバラにならない。それは歩先生が、人間関係づくりや信頼関係づくりの達人という側面も大きいが、自律協働創発型組織になるには、考え方や学び方のコンパスをシェアすることなのであるという知のマネジメントの手法をとっているからだろう。
★しかも、この知のマネジメントは、組織やプロジェクトの前に、何より個人の意志なのだ。これは、教師ばかりではなく生徒もそうなるわけだ。実にコンパクトな知のマネジメントである。しかも、知識は人類の財産でもある。つまり、個人と社会の関係の新しい発想を田中歩先生は持っている。大学時代、心理学を学んできた影響もあるだろう。
★知識の変態の過程によるGrowth Mindsetという知のマネジメントは、実は今春大学合格実績を飛躍的に伸ばした同校の進路指導の手法と親和性がある。
★21世紀型教育と進路指導は、どの学校でも衝突しがちだが、工学院では両輪として回転し始めている。昨年まで英語科主任だった田中歩先生が、今春教務主任となり、進路指導主任の新井利典先生と両輪を回すことになったからでもある。
★今まで体験したことがないようなソフトパワーがあふれでる学校がいよいよ誕生する予感がする。

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