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2019年中学入試の新フレーム(192) 2021年度早稲田大学入試改革ショック!

★5月30日に、早稲田大学が2021年度入試からかなり骨太の改革を行うことを公開した。以来、各種メディアは、幾度も取り上げ、早稲田大学入試改革ショック!の様相を呈している。

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★同大学の改革は、全学部で、その大胆さの度合いの違いこそあれ、行われる。その共通点は、3つある。
1)英語外部検定試験の活用。
2)学部独自試験において、思考力・判断力・表現力を問う記述式問題の出題
3)出願時に、 「主体性」 「多様性」 「協働性」に関する経験を記入
★要するに、グローバル、STEAM、ポートフォリオの3つの柱を何等かのカタチで、埋め込んでいくというコトである。
★同大学のグローバルビジョンは、民間英語検定試験の活用に象徴されるが、早稲田大学の本意は、実は留学生を獲得するときに、彼らはCEFRを履歴に用いるため、国内の英語入試では、世界通用性がないからということなのである。
★特に早稲田大学政治経済学部は、「多くの留学⽣をはじめとした多様でマルチカルチュアルな教室環境を実現するため、英語学位プログラムを充実させる」ことを目標にしているから、グローバルな大学環境という包括的な意味を背景にしている。
★また、全体の改革よりも、各種メディアは、早稲田大学の政治経済学部の改革に焦点をあてて論じているが、これは、同学部が、大学入学共通テストで、 数学Ⅰ・数学Aを必須科目としたからである。
★今までの受験生層が減るのではないかという懸念や批判が、学内外にある。しかし、すでに従来の選択においても、 数学Ⅰ・数学Aを選択している受験生は30%以上はいるわけだし、まして定員を減らす今回の改革においては、問題はないというのだろう。
★それに、経済にしても政治にしても、グローバルな世界では、数学的思考を応用しなくては、論文として認められない。ノーベール経済学賞は、やはり英語と数学が必要なのである。
★しかし、重要なのは、大学共通入学テストの 数学Ⅰ・数学Aだけの話ではない。というのも、早稲田の政経を受験するレベルの生徒が、この領域を突破することは、実はそれほど難しくない。
★それよりも、独自試験の思考力型入試のほうが難しいだろう。政経の場合、英語と日本語の両言語の資料を読み込んで、小論を書くことになる。この中に数学的思考をみるものも当然埋め込まれているだろう。
★したがって、ここに英語・思考力・判断力・表現力・数学的思考力がすべて活用されることになっている。つまり、グローバルな言語活動、STEAM教育の要素が重要になってくるということなのである。
★まして、スコア化されないとは言いうものの、出願時に、 「主体性」 「多様性」 「協働性」に関する経験を記入し、全学部の出願で共有できるとするeポートフォリオ的な発想は、いよいよ海外大学の入試制度を思い浮かべないわけにはいかない。
★やはり、明らかに、海外の学生に、選択肢として認識されたいという思惑があるのだろう。
★最近では、実現可能かどうかはともかく、医学部の設置にも言及があるほどで、このような一連の動きは、世界大学ランキング100位以内に入ることを目標とする動きである。
★さて、このGSTEAMの教科脱構築の動きが、ダイレクトに影響するのは、実は中高のカリキュラムなのだ。簡単に言えば、英語力と思考力であるが、AI社会に対応できる高度な知性を目標に教育が行われる必要があるという早稲田大学からのメッセージでもある。
★まだまだ中高の変化対応に、温度差があるが、このままでいけば、クリエイティブクラス格差が相当開いてしまう。今後10年間の中学受験から大学受験にかけての生徒は、「人類の子供たち」である。彼らが全員クリエイティブクラスになれる教育をして、明日の世界を希望の社会にする責任を、私たちは背負わなければならないのではないだろうか。

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