【CoMe世代】人類の子供たちが体得していく知のスキル。システムとしての対話。
★それゆえ、今知識を憶えることを競争するのではなく、知識の活用の仕方を共有し、学際的に適用しようというB軸思考にシフトしようというのはすてきではないか。受験というのは、その共有をいっしょにやっていけるかどうか、互いに判断するということだろう。
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★そして、共有だけではなく、既存の知識の意味を捉え返し、新たな意味を発見する協働ができるかどうかC軸思考を発動する対話が共にできるかどうか確認し合うところまで、入試は問い始めたのである。
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★いっしょに、知識の新たな意味を見つけ、最終的には、新たな知識を創造するところまで一緒に研究していけるかどうかを確認するには、小論文という書くという行為と口頭試問という対話の行為を行ってみることが妥当だし、信頼性も高くなる。
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★だから、対話ができるというこは、今後あらゆるところで、大事なメタスキルなのである。対話を排除することは、したがって問題なのは言うまでもないが、根本的な問題は、対話ができない人間がいるということである。
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★対話を拒否しているのではない。対話をしたくても対話それ自体ができないのである。
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★今までは、知識をたくさん覚え効率的に活用できれば、社会の第一線で活躍できたが、それが抑圧的な社会を形成してきたことも事実である。
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★まず知識を憶えることが大事だという人も、知識ではなく思考力であるという人も、そこに排除の理論がある限り、対話ができる人ではない。知識の活用、再生、再構築、創造、生成という一連の過程全体を思考する行為と呼び、その思考が最も作用する場が対話なのである。
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★対話ができないとは、この一連の過程を生み出すことができないことを意味する。したがって、対話は、学びに拠って得ることができるようにした方がよい。対話すると問題は解消するのであるが、対話できるようにまずすることが、つまり、対話のシステムを身に着けることが、対話した時に問題解消に導くことになるだろう。
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★もちろん、その対話のシステムは、対話の試行錯誤によって、内面世界に浮かび上がってくるものである。対話のスキルは対話の質にかかっている。システムとしての対話とコンテンツとしての対話、システム思考とコンテンツ思考の差異を持続可能にしながら対話していくのと、その差異を無視した対話をしていくのとでは、チームワークの出来具合がちがってくる。
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★コンテンツとしての対話しかできなければ、いつもそんなはずはなかったとか期待を裏切られたという感じをもってしまう。だからコンテンツとしての対話は、ついWhatとWhyを重視したくなるのだ。
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★そして、Whyを3度考えよとか、抑圧的になり、対話ができなくなる。対話を行っているようだけど、実はそこでは抑圧的コミュニケーションが行われてしまっているのだ。
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★だから、いったんシステムとしての対話やシステムとしての思考の次元で対話しようということになる。井庭先生チームが制作した「対話のことば」は、システムとしての対話であり、システムとしての思考である。
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★現状がこうである。そこで、こうしようというプロットですべてのパターンが描かれている。つまり、Howが重視されている。
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★「なぜそれをするのか?それはこうだからだ。」というのと「現状はこうである。そこで、こんふうにやってみよう。他にもあるかもね」というのとでは、対話の雰囲気が全く違う。
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★というのは、こうしたのは、なぜかというと、無理やりいくつかの現状を因果関係の鉄鎖でつなぐことになるからなのだ。本当はその因果関係が成り立っているか証明できない。科学の領域では、因果関係を証明するのではない。あくまでも相関という確からしさである。それなのに、事実が先行したに過ぎないにもかかわらず、限定する。犯人捜しと同構造なのだ。
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★ところが、現状こうである。それをどうするかは、無限の思考が広がるのである。井庭先生チームの同書にある、文脈の広がりと新しい才能をもった未来の仲間がやってくるのである。
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★コンテンツを無理やりWhatとWhyに分断することで、ダブルバインドを生み出して精神の病を生み出してしまうというのは、ベイトソンのチームが発見したことである。
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★ベイトソンは、そのダブルバインドから抜け出すにはどうしたらよいのかと問い返した。そして、それは新次元を開くことなのだと。コンテンツとしての対話に対し、システムとしての対話をぶつけること。ここに突破口が拓く。広がりのある文脈と新しい仲間の登場。果てしない物語が始まるのである。
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